2018年8月17日(金)

G7首脳宣言の詳報

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北米
2018/6/11 9:02
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 カナダ東部シャルルボワでの先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)首脳宣言の詳報は次の通り。

 【前文】

 G7首脳は自由、民主主義、法の支配、人権の尊重、法に基づく国際秩序推進といった共通の価値観の下、シャルルボワに集まった。きれいな環境、空気、水の確保に向けた強い決意を確認する。全ての人々にとって健康で豊かな、持続的で公正な未来に向けて協力する。

 【成長への投資】

 全ての人々が享受できる持続可能な経済成長の実現へ協力する。世界的な経済回復と雇用創出のための技術変革を歓迎する。新興国市場でリスクに対する抵抗力は増したが、最近の市場動向は潜在的な脆弱性を想起させる。生産性向上と雇用創出のため、インフラなどにおける効率的で持続可能な、質の高い投資を推進する。

 世界経済への女性参加を妨げる障壁を取り除くことに取り組む。貧困撲滅、ジェンダー間の平等などを推進するため「平等と経済成長のためのシャルルボワ・コミットメント」を打ち出す。

 公正で効果的、効率的な税制度構築のための国際的な取り組みを支援する。税逃れの取り締まりを継続する。

 自由、公正で互恵的な貿易と投資は、成長と雇用創出の鍵となる原動力だ。ルールに基づく貿易制度の重要な役割を強調し、保護主義との闘いを続ける。

 2国間、地域、あるいは複数国間の通商協定が開放的、包括的で、世界貿易機関(WTO)のルールと整合性を持つ重要性に留意。早期にWTOをより公正な機関に近代化し、関税を引き下げるよう努力する。

 市場原理に基づかない政策や、最先端技術の強制移転をはじめとする知的財産権の不適切な保護に対処する。

 鉄鋼の過剰生産問題を話し合う「国際フォーラム」の全ての参加国に対し、問題解決に向けたフォーラムの提案を完全かつ迅速に実行するよう求める。アルミニウムなどの過剰生産を早急に回避する。

 女性や青年の健康増進のため、健康管理を推進する。結核撲滅の取り組みを進める。ポリオ根絶への協力の決意を再確認する。

 発展途上国における経済成長を推進し、機会の平等をさらに充実させるため「開発のための革新的な融資に関するシャルルボワ・コミットメント」を打ち出す。質の高いインフラへの投資を継続する。低所得国における債務増大を受けて、借り手だけでなく新興地域の貸し手にも透明性確保を求める。

 【将来の仕事】

 イノベーションや新技術がもたらす新たな職場に適応するため、全ての労働者に訓練の機会を保証する必要がある。ハラスメントや差別をなくし、女性の労働市場への参加に対する障壁を排除する必要がある。人材育成への革新的なアプローチを追求する。

 人工知能(AI)を活用するため「人工知能の未来のためのシャルルボワ共通ビジョン」を打ち出す。AIは新たな経済成長の源泉となり、差し迫った課題解決の助けとなる潜在能力がある。

 【ジェンダー、女性】

 ジェンダー間の平等は人権の基本。社会的、経済的、政治的分野における女性の参加と意思決定への障壁を取り除き、全ての労働市場に等しく参入できる機会を増やすよう引き続き努める。

 【平和で安全な世界】

 G7は、より平和で安全な世界を実現する責任を共有している。人権の尊重や法の支配、機会の平等は、永続的な安全保障や経済成長のために必要だ。われわれが直面している安全への脅威は複雑化し変化している。G7は共に、テロリズムに対抗していくことにコミットする。

 民主主義社会や選挙プロセス、主権を損なおうと試みる外国勢力に対処する。

 北朝鮮に大量破壊兵器や弾道ミサイルの関連計画や施設の完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄を要求し、完全非核化の重要性を強調する。北朝鮮による核、弾道ミサイル発射実験の凍結宣言や、4月27日の板門店宣言、豊渓里の核実験場の閉鎖によって示された非核化への決意を認識する。

 大量破壊兵器や弾道ミサイルの廃棄は、朝鮮半島の人々をより明るい未来に導くとともに、長い間、苦しんできた北朝鮮の人々に繁栄の機会をもたらす。

 北朝鮮に方針転換を促すため、国連安全保障理事会の制裁決議履行を含む強力な圧力を維持するよう全ての国に要請する。北朝鮮に拉致問題の即時解決や、北朝鮮の人々の人権問題への対処を要求する。

 ロシアに対し、民主主義を損ない、地域を不安定化させる行動や、シリア政権への援助をやめるよう要請する。英国内でのロシア元情報機関員への神経剤襲撃事件を非難し、ロシア政府が関与した可能性が高いとする英国の分析に同意する。ロシアに国際的な義務を履行し、国連安保理常任理事国としての責任を果たすよう要求する。

 ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の強制編入を繰り返し非難し、ウクライナの主権と独立のため、長期的に支援していくと断言する。必要があればロシアに対して制限的な措置を科す用意がある。

 過激派組織「イスラム国」(IS)による残虐行為や、シリアのアサド政権やISの化学兵器使用を非難する。ISや、その思想の根絶に引き続きコミットする。

 東シナ海、南シナ海で緊張を高め地域の安定を損なう一方的な行為に強く反対する。領有権争いが起きている土地での非軍事化を全ての当事者に求める。

 人権侵害に強い姿勢で対抗する。ミャンマーに永続的な平和を構築し、民主化プロセスを支援するために協力することを誓う。特にイスラム教徒少数民族ロヒンギャの迫害に関し、難民化したロヒンギャが安全に尊厳のある帰還をできるよう支援する。ベネズエラでの基本的な民主的原則の欠如に深い懸念を表明する。

 イランに弾道ミサイル発射の自制を要求する。地域を不安定にさせる行動やミサイル技術の拡散をやめるよう要求する。核開発は平和利用とし、兵器開発・獲得をしないとの誓約を順守させる。イランに支援されたテロ集団を含め、全てのテロリズムへの金銭的な援助を非難する。イランにテロを防ぐための建設的な役割を果たすよう要求する。

 イスラエルとパレスチナの間の紛争を懸念する。両者の話し合いによる解決を目的とした和平交渉が再開されることを支持する。

 アフリカの安全、安定的、持続可能な発展は、われわれの優先事項だ。地中海地方や欧州の安定の鍵となる、リビアの民主化にコミットする。

 【気候変動、海洋、エネルギー】

 健全な地球、持続可能な経済成長は互恵的であり、未来に向けたグローバルな取り組みを追求する。エネルギー安全保障を強化する現在進行中の行動に共同でコミットする。

 米国を除く6カ国は、地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の履行に向けた強い決意を確認する。政府や市民社会など全ての関係するパートナーと協同し、政策のギャップやニーズ、最善の方策を特定する。

 米国は世界の海洋や環境の状態を改善する手法によって、エネルギー安全保障と経済成長を促進し続ける。

 健全な海洋は数十億人の生活や食糧安全保障、経済的繁栄を直接的に支えていると認識する。持続可能な海洋と漁業を促進し、プラスチックごみや海洋廃棄物に対処する。

 プラスチックが経済や日々の生活で重要な役割を果たす一方、プラスチック製品の製造、使用、管理、廃棄に関する現行のアプローチが潜在的に人間の健康に脅威をもたらすとの認識の下、カナダと欧州各国首脳は「G7海洋プラスチック憲章」を承認する。

 【結論】

 2019年の次回サミットを主催し、G7の指導力を継続するとのフランス大統領の提案を歓迎する。(ケベックシティー共同)

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