2018年6月18日(月)

国有企業に「特別上場枠」 英、アラムコ誘致へ7月導入

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2018/6/9 1:00
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 【ロンドン=篠崎健太】英国の金融規制当局である金融行為監督機構(FCA)は8日、国有企業向けの特別な上場区分を7月1日から導入すると発表した。国との大口取引で一般株主の承認を要らなくするなど、ルールを一部緩める。サウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコのロンドン誘致を視野に入れた措置だが、市場を通じた企業統治の機能を損なうといった批判も根強い。

英国はサウジアラムコのロンドン上場に期待している(サウジアラビアの石油施設)=ロイター

 新たな枠は「プレミアム上場区分」という名称で、国が支配株主となっている企業に特別な上場ルールを認める。FCAは2017年7月に検討を表明し、市場関係者から意見を募ってきた。

 一般の上場ルールでは、市場に出回る可能性が高い株式を指す浮動株の比率として「25%以上」を求めている。特別枠ではこれを下回る比率でも上場を認める。「利害関係者ルール」も緩め、大株主の国と行う資産などの取引で、一般株主の事前承認を不要とする。

 背景には、サウジのムハンマド皇太子が企業価値を2兆ドル(約220兆円)と見込む、アラムコの新規株式公開(IPO)を呼び込む思惑があるとみられる。売り出す株式は最大5%とされ、上場後も政府が圧倒的な支配権を握る。首都リヤドの証券取引所のほか国外での重複上場を検討中で、ニューヨークや香港などと誘致を競っている。

 FCAは寄せられた意見を踏まえ、当初案から内容を一部見直した。国との取引には適時開示を義務付けるようにした。独立社外取締役の選任に、一般株主の承認を求める規定も付け加えた。ベイリー長官はこうした規則によって「投資家は保護の恩恵を受けられる」と意義を強調した。

 それでも優遇には批判が渦巻いている。英経営者協会は「深く失望した」との声明を出し、企業統治の仕組みを損なうとして特別扱いに疑問を呈した。運用会社などでつくる英投資協会は「上場基準は最低限(の要件)であり目標ではない」と指摘。少数株主保護に向けた上場企業の自発的な取り組みを求めた。

 新たな特別枠であっても、財務諸表の公表など情報開示については、一般の上場企業と原則として同じ基準を適用する。アラムコにとってはハードルがなお高いとみられ、ロンドンへの誘致が実現するかは不透明だ。

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