2018年11月14日(水)

20年は3月解禁? 誰も得しない「前倒しドミノ」裏事情
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コラム(ビジネス)
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2018/6/13 6:30
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2019年卒の大学4年生から、20年卒の大学3年生へ。就活の主役が早くも交代しつつある。学生を確保したい企業の思惑が、スケジュールの前倒しに拍車をかける。ただ「前倒しドミノ」は学生も企業も疲弊するだけで、誰も得しないのではないか。それでも前倒しになる理由を探ると、裏事情も見えてきた。20年開催の東京五輪・パラリンピックと21年卒問題だ。

イラスト=強矢さつき

イラスト=強矢さつき

6月1日は何の日?。そう、経団連加盟企業の採用選考の解禁日だ。実際には採用選考の多くはもっと前から始まっており、就活ルールが形骸化していることは言うまでもないだろう。

最近では情報サイトや大学キャリアセンターなどの就活業界にとって、6月1日は「大学3年生の就活が事実上スタートする日」と認識されている。なぜならこの日、大学3年生を対象とする夏のインターンシップの参加を募る大手サイトが一斉にオープン。インターンの合同説明会も都内で始まるためだ。

中央大法学部3年生の男子学生はスケジュールを眺めて思案顔だ。この夏休みは10社のインターンに応募する予定。ただ夏休みはゼミの調査やサークルの旅行で1カ月間ほど海外に出なければならない。実際にインターンに参加できるのは、最大でも3社程度だ。何といってもまだ3年生。「学業やサークルの時間を犠牲にしてまで就活に費やすのは抵抗がある」というが、インターンに参加しない選択肢はない。「家庭教師のアルバイトも休まないといけない」などと考えている。

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大学側も前倒しに動いている。中央大では大学3年生の3月に開催していた学内の合同企業説明会を20年卒では取りやめる。代わりに3年生の11~12月から「業界セミナー」の名で説明会を実施する考えだ。3カ月以上早めるだけでなく、参加対象を1、2年生にも広げる。「学生の意思決定が早期化していることに対応する」(キャリアセンターの池田浩二課長)という。

ただし学生の意識にはばらつきもある。都内で今月2~3日に開催されたインターンシップの説明会。探偵が感じたのは、微妙な空気だった。

参加したのは学生が昨年比15%増の延べ2万6500人。企業が約460社。各ブースでは採用担当者が熱心に説明する姿が見られた。ただ大学4年生向けの合同説明会と比べると緊張感は薄い。会場には私服姿の学生も多かった。

■形骸化の裏で佳境に

「就活をどこからどう始めたらいいのか、まだ分かりません」。会場にいた拓殖大3年の男子学生はこう打ち明けた。今月1日のサイト開設と同時に説明会に登録し、とりあえず足を運んでみたのだという。志望業界は「広告代理店と決めている」というが、具体的なプランはまだ白紙だ。

「この春に進学したばかりなのですが」と話すのは、大学院1年の理系男子学生。大学院に進学したかと思えば、もはや就活に動かねばならない。そんな状況を受け入れ難い様子だった。「研究には時間が必要。なるべく短期間で就活を終えたい」と話していた。

インターンシップ説明会での企業と学生のやり取りは、あくまで「インターンシップに限定する」という建前がある。しかし現実には、企業側は福利厚生などの待遇をアピールして学生の興味をひき、学生側も選考スケジュールについてあれこれ質問していた。

ルールが形骸化したとはいえ、19年卒の就活生の多くは選考が佳境だ。その裏で20年卒の就活が始まり、学生がいや応なく巻き込まれている。この状況を企業はどう受け止めているのか。

「19年卒と20年卒。2つの学年の相手を並行してやらなければならない。正直かなり厳しいです」。大手住宅メーカーの採用担当者はこうこぼす。同社は経団連加盟企業でありながら、6月を待たずして学生に内定を出した。6月は内定を出した学生をつなぎとめ、確実に入社させる取り組みに力を入れる時期だという。

タクシー大手の国際自動車(東京・港)も6月に入って、内定者向けの交流会や社内見学会などのイベントを連日のように開いている。一方で20年卒向けのインターンも呼びかけなくてはならない。「新卒採用に力を入れるようになって採用担当を6倍の30人に増やしたが、それでも忙しい」(川田政執行役員)。

■変化の年にらむ?

ネットの掲示板などで使われる「誰得」という言い回しがある。「誰が得をするのか」という状況を皮肉る俗語だ。採用スケジュール前倒しは、学生も企業も疲弊するだけで、まさに誰得ではないか――。探偵はそんな疑問を抱いていたが、調査を進めるうちに別の側面も見えてきた。

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