2019年6月19日(水)

神奈川の中小企業、6割が「働き方改革取り組まず」

2018/6/9 1:00
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神奈川県の中小・小規模企業の6割強が働き方改革に取り組んでいない。人手不足が最大の理由で、従業員数が少ない企業ほど取り組みが進まない。県は今後、働き方改革に成功している企業の実例や、国の支援制度について情報提供を進めて改善につなげたい考えだ。

神奈川県が2017年11~12月に実施した調査で明らかになった。対象は資本金が3億円以下、または従業員が300人以下の県内企業2600社。回答があった631社のうち、63.5%が働き方改革に「取り組んでいない」と答えた。

従業員数別でみると取り組んでいないのは、101人以上の企業で14.3%だった一方、21~50人は35.4%、6~20人は49.7%、5人以下は74.3%だった。従業員数が少ない企業ほど取り組んでいないことがわかる。

理由として最も多かったのは「人員に余裕がなく、取り組むことができない」で42%を占めた。「取り組む必要性を感じていない」が39%、「何に取り組んでいいかわからない」が9%で続いた。

神奈川県中小企業家同友会(横浜市)は「中小企業での働き方改革は難しいという声は多い。人数が少なく大企業のような分業はできない」と指摘する。建設会社の日栄鋼材(同)の菅沼伸之社長は「今の人員で会社の業績を伸ばすことと、国が求める働き方改革の両立はできない」と訴える。

調査では計47.1%の企業が人材確保が「あまりできていない」「まったくできていない」と回答した。人材確保の課題については「求める質の人材がいない」が53.5%で最多。「求職者が集まらない」(30.9%)、「採用の諸経費が負担」(18.2%)が続いた。

黒岩祐治知事は「中小企業は新しい働き方の情報が不足している」と指摘する。「先行事例を広める取り組みを進めたい」と話す。「先進的な取り組みを進めるには国や自治体が補助金を出すことも重要」(横浜商工会議所の上野孝会頭)との意見もあるが、県はまずは希望する企業に対して他の企業の取り組みや、自治体の支援制度について定期的に情報提供していく。

■成果出す事例も

働き方改革に取り組む県内中小企業が少ないなかでも、成果を出しつつある事例も見受けられる。調査では「長時間労働の是正」(70.5%)や「有給休暇取得の奨励」(33.5%)に取り組む企業が多かった。

保険相談のT&S(横浜市)は売り上げを落とさずに有給休暇の消化率を5年前の10%から95%まで上げたという。顧客情報を全社員で共有。どの社員でも業務を代行できるようにして、休みを取りやすくした。午後6時には全社員のパソコン電源を強制的に切る。

ワイヤカット加工の吉原精工(神奈川県綾瀬市)は全社員の週休3日制をめざす。現在も日勤を2グループに分けるなどして、週6日工場を動かす。時には深夜まで生産を続けながらも、残業を出さない運用をする。事業を絞り社員1人あたりの効率を高め、社員を増やさず操業を続ける。

翻訳事業のエヌ・エイ・アイ(横浜市)は出産・育児を経た女性の再雇用を進めようと、県が進める男女共同参画活動の取り組み「かなテラス」に年内にも参画する。

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