2018年11月18日(日)

トランプ氏対話姿勢、首相配慮にじます 日米連携を最優先

2018/6/8 21:44
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【シャルルボワ(カナダ東部)=地曳航也】安倍晋三首相は7日午後(日本時間8日未明)の日米首脳会談で、12日の米朝首脳会談に向けて北朝鮮との対話姿勢を強めるトランプ米大統領への配慮をにじませた。これまで北朝鮮への圧力継続の必要性を強調してきたものの、会談後の共同記者会見では「圧力」の表現を封印。日米両国の連携を最優先した。

首相は会見で「米朝首脳会談において日米は完全に一致して、その成功を目指している」と強調した。トランプ氏とは4月にフロリダ州の同氏の別荘で会談したばかり。わずか1カ月半後の再訪米は異例だ。

トランプ氏は米朝首脳会談の開催を決めた後、「『最大限の圧力』という言葉を使いたくない」と述べたり、複数回の会談が必要との見通しを示したりと、従来と違う発言をするようになった。首相の今回の訪米には、こうした発言の変化の真意を探り、北朝鮮の非核化や日本人拉致問題に関する考えを改めて擦り合わせる目的があった。

首相の記者会見は随所にトランプ氏への気配りがみえた。首相はこれまで、北朝鮮の非核化までは「最大限の圧力」を続けるとの表現を使ってきたが、トランプ氏はこの日の会見で「『最大限の圧力』という言葉はもう使わない」と表明。首相は呼応するように「圧力」の言葉を1度も使わず「制裁は解除しない」との表現にとどめた。

首相は会見の冒頭発言で自ら「日朝平壌宣言に基づいて国交を正常化し、経済協力を行う用意がある」と話した。トランプ氏が日本の経済支援を北朝鮮との交渉カードにしようとしているのを踏まえた発言だ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との会談にも「北朝鮮と直接向き合い、話し合いたい」と意欲を示した。

首相がトランプ氏と歩調をあわせたのは、米朝首脳会談で日本の要求をトランプ氏からしっかり北朝鮮側に伝えてもらうためだ。最大の焦点は拉致問題の取り上げ方だ。トランプ氏は会見で「首相は拉致問題について非常に長い時間、熱のこもった話をした。その望みに応えたい」と話した。首相が熱心にトランプ氏に拉致問題の重要性を訴えたことがうかがえる。

核・ミサイル問題での日本の要求は、日本を射程に入れる中短距離ミサイルを含め、全ての大量破壊兵器と弾道ミサイルを完全に廃棄することだ。首相はこの点も会談でトランプ氏に念押しし、同氏と国連安保理決議の完全履行を北朝鮮に求める考えで一致した。

米朝会談後は日本も米国頼みでは済まなくなる。トランプ氏を通じて伝えた拉致問題解決などの要求を実現するには、日朝両国の膝詰めの議論が不可欠だからだ。外務省関係者は「今はトランプ氏を通じて要求を伝えるのが最善の策だが、米朝後は日本独自の取り組みが重要になる」と話す。

圧力路線を主張してきた日米両国が対話姿勢を強めたことで、国際社会の北朝鮮への制裁網が緩む懸念もある。対話をしつつも北朝鮮ペースにのまれないよう、完全な非核化の道筋が見えるまで制裁を有効に機能させる必要性が増しそうだ。

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