GM、復権へ3つのゼロ 排ガス・渋滞・衝突で提携
サービス事業へシフト

2018/6/8 21:00
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米ゼネラル・モーターズ(GM)が「脱・自動車メーカー」の動きを早めている。7日、自動運転サービスに欠かせない電気自動車(EV)の電池の共同開発でホンダと合意したと発表した。世界に君臨しながら、経営破綻を迫られたGM。自ら築いた旧来の事業モデルを脱し、無人タクシーなど次世代交通サービスを柱とする新たな自動車メーカー像に復権をかける。

「自動運転車は全てEVになる」。GMの改革を指揮するメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)の持論だ。GMにとってEVの量産体制を整えることは環境対策にとどまらない意味を持つ。EVはGMが19年の実用化を目指す自動運転技術との相性がいいからだ。

自動車業界では近年、「CASE」(コネクテッドカー、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる取り組みが広がる。中でもGMが「3つのゼロ」として掲げる目標は「衝突」と「排出ガス」のゼロに加え、「交通渋滞」をなくすとしている点が特徴的だ。

交通渋滞は世界各地で深刻な社会問題となっている。GMは19年にも自動運転技術を使ったライドシェア事業に参入することで、自ら渋滞問題の解消に乗り出す計画を掲げる。すでにハンドルのない自動運転車の運行許可を米運輸当局に申請するなど、着々と計画を進めている。

長く世界最大の自動車メーカーだったGMは09年に経営破綻に追い込まれた。16年に販売台数が1000万台に達したが、規模を追い求めない戦略に転換。17年、不振が続いていた独オペルなどの欧州事業を仏自動車大手グループPSAに売却し、インドでも自動車販売からの撤退を決めた。17年の販売台数は900万台を割った。

GMが新たな姿を模索するのは、自動運転などの革新が自動車産業に破壊をもたらすとみるからだ。米ライドシェア最大手、ウーバーテクノロジーズの幹部は「クルマは個人でなく、リース会社などが持つ時代になる」。完成車メーカーがリース会社に車を納めるサプライヤーの地位に転落する可能性もあり、GMは備えを進めてきた。

例えば運転手の不要な「ロボタクシー」。その開発に関わるとみられるGM傘下の自動運転技術開発会社への出資を決めたソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)は、企業価値を115億ドル(約1兆2600億円)と評価した。これはGMの時価総額の約2割に相当する。自動車製造業に匹敵する潜在的な成長力を持つとみたわけだ。

18年中にミシガン州の工場でロボタクシーのベース車両となるEVを増産する計画で、SVFから調達する22億5000万ドルの資金などを充てるとみられる。

転換期の生存競争は、変化への対応力がカギを握る。GMがどこまで徹底して変身できるかが問われそうだ。

(シリコンバレー=白石武志)

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