2019年5月26日(日)

娘がくれた生きがい、介護の道歩む 池田小事件

2018/6/8 18:49
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大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)の校内児童殺傷事件で、娘の花菜さん(当時7)を亡くした塚本有紀さん(51)=兵庫県宝塚市=が、介護福祉士としての道を歩んでいる。娘が助かっても歩けなくなっていた可能性を医師から聞き、介護職を目指した。

娘の花菜さんの思い出を語る塚本有紀さん(兵庫県宝塚市)=共同

事件から8日で17年。有紀さんは時折襲うフラッシュバックと戦いながら、娘を託してもよいと思えるような理想の介護を目指し、介護福祉士として試行錯誤している。

2001年6月8日。事件で背中などを刺された花菜さんを治療した医師は「傷が脊髄まで達し、生き残れたとしても、歩けなかった可能性が高い」と告げた。

車いすに乗る子どもを見掛けると人ごとと思えず、有紀さんは「花菜を託せる理想の姿に」と介護福祉士になることを決めた。現場で働くのは9年目で、塗り絵や貼り絵など入所者向けレクリエーションを任されている。

勤める老人ホームには寝たきりの入所者も。容体が急変すると、医師や看護師が慌ただしく走り回り、事件直後に花菜さんが運び込まれた病院を思い出して気分が悪くなることがある。

同僚には事情を伝え配慮してもらっているが、「いつフラッシュバックが来るか分からず、恐る恐るやっている」と有紀さん。それでも「塗り絵ができた時などの入所者のうれしそうな顔を見ると、やめられない」と話す。

レクリエーションで使う塗り絵、貼り絵作りを家に持ち帰ることも。塗り絵が好きだった娘の「花菜もやりたい」という声が聞こえてきそうで、生前の姿を思い出す大切な時間になっている。

「理想の介護士になりたい、というのは花菜がくれた生きがい。皆さんの笑顔をエネルギーにして、前向きでいたい」〔共同〕

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