2019年6月18日(火)

職場でのセクハラ防止条約、19年制定へ

2018/6/8 17:51 (2018/6/8 20:46更新)
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【ジュネーブ=細川倫太郎】国際労働機関(ILO)は、2019年にも職場でのセクハラや暴力を防止するための条約を制定する方針を決めた。拘束力を持つ初めての国際基準になる見通し。被害者が性的暴力の被害を自ら訴える「#MeToo」(「私も」)運動が世界的に広がる中、各国のハラスメント対策を後押ししそうだ。

ILOはスイス・ジュネーブで5月28日から始まった年次総会で、たたき台となる草案を協議してきた。最終日の8日に草案の報告書を承認し、国際基準の策定へ一歩前進した。

条約では職場でのあらゆる暴力やセクハラを含めたハラスメントの防止を目指す。条約を補完するために、詳細内容を示した勧告も作成する。

具体的には暴力やハラスメントを精神的、性的、経済的危害などを引き起こす許容しがたい一連の行為などと定義。被害対象者にはボランティアやインターン実習生も含んだ。加害者は雇用主や同僚だけでなく取引先や顧客も対象で、職場や通勤時間中、メールやチャットでの会話など幅広い場面で適応する。

ILOは今後、加盟国の意見をさらに聞いて、具体的な条約と勧告の中身を詰めていく。19年の年次総会で再び討議し、条約制定を目指す。

もっとも、今回の総会での議論は一筋縄では進まなかった。欧州連合(EU)や中国などが条約制定に賛成した一方、米国はすべての国や地域への一律適用を疑問視。「各国が使える文章にすべきだ」とし、勧告にとどめるべきだと主張した。国内でも関連法が未整備の日本は「定義が広すぎる」と態度を保留した。

労働者の権利保護を巡っても当初、LGBT(性的少数者)も対象者に含まれていたが、同性婚を認めていない国が多いアフリカ諸国が強く反対。一時、会場から退出するなど議論は紛糾し、結論を先送りするテーマも少なくなかった。

各国で社会規範や労働形態が異なるため、今後の議論も曲折が予想される。パワハラひとつとっても指導かハラスメントなのかは個別案件によるところが大きく、線引きは難しい。最終的にどこまで条約と勧告に明記するかに注目が集まる。

日本では男女雇用機会均等法でセクハラの防止措置をとる義務を企業に課しているが、セクハラの定義は定まっていない。ILOが80カ国の現状を調査したところ、仕事に関する暴力やハラスメントを規制する国は60カ国で、日本は「規制がない国」に分類された。国際的にみて取り組みは後れを取っている。

ILO総会は加盟187カ国の政府、労働者、使用者の代表が一堂に会し、労働問題について協議する。ILOのライダー事務局長は「職場からすべての暴力やハラスメントを完全になくす必要がある」と条約制定に強い意欲を示している。

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