2018年6月24日(日)

ゼロックス買収判断「半年以内に」 富士フイルム会長
膠着続けば断念も

エレクトロニクス
2018/6/7 18:01
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 富士フイルムホールディングスの古森重隆会長は7日、日本経済新聞などの取材に応じた。米事務機器大手ゼロックスに対して買収案の履行を今後も求めていくと強調する一方、実際に買収できるかどうかを「数カ月か半年以内」をめどに判断すると述べた。買収案がゼロックスや同社株主のカール・アイカーン氏らに拒まれて以来、古森氏が対外的に発言するのは初めて。

インタビューを受ける富士フイルムホールディングスの古森重隆会長(7日午後、東京都港区)

インタビューを受ける富士フイルムホールディングスの古森重隆会長(7日午後、東京都港区)

 「(買収は)無期限に、ということではない。期限は考えていないが、普通考えると数カ月から半年だろう。何もなければそれでしょうがない」

 古森氏は事実上暗礁に乗り上げつつあるゼロックス買収について、こう断言した。ゼロックス買収は長年の悲願といえるが「経営というのはそろばんがあわないといけない。今、向こう(アイカーン側)が言っているのは私のそろばんには合わない。夢だけで生きるわけにはいかない」とこのまま硬直状態が続けば断念も視野に入れることを示唆した。「今のところ(買収撤回を)考えたことはない」とも話しており、買収の履行を強く訴える方針を改めて示した。

 「相互互恵のシステムを考えたときに、これしかないという選択だった。機が熟したということで統合を考えようとなった」

 ゼロックスと富士ゼロックスは販売地域が分かれており、グローバルに展開する大企業の攻略が難しかった。また重複する拠点などもあり、統合効果は固定費削減で1900億円と小さくないと主張。デジタル化による紙離れが起きる市場で、両社が生き残るために統合は必要不可欠との見方を示した。

 「(富士フイルムの株主は)お金を使わないで済んで良かったと。(成長領域である)ヘルスケアで使わないといけない。大部分の声はそういうことだ。現金を用意して、というのは、それはいいや、と思うのでは」

 古森氏は現在の買収スキームに強い自信を示した。富士フイルムは医薬品や医療機器などのヘルスケア分野を重点分野に据え、M&A(合併・買収)などに資金を投じる方針。事務機器事業は安定して資金を稼ぎ出す「キャッシュカウ」事業と位置づけており、資金流出を伴わない今回の買収案がベストだという姿勢を崩していない。「向こうからお互いにメリットがあるさらに良い案がでてくれば検討する」と譲歩姿勢も示したが、原則お金を流出させない買収にこだわる考えだ。

 「我々は統合がなくても十分にやっていける。ゼロックスと富士ゼロックスの契約がある」

 富士ゼロックスは構造改革を進めており、自社で生産機能も持つため今回の買収が頓挫しても生き残れるという考えを示した。一方ゼロックスは生産機能が脆弱で、成長市場であるアジアなどでも販売網構築などには時間がかかる。「これから業界で始まるのはサバイバルゲーム」とし、ゼロックスの長期の成長戦略には富士ゼロックスとの統合が欠かせないという見方を示した。

 主な一問一答は以下の通り。

 ――ゼロックス新経営陣から新しい提案は来ているか。また、いつまでにめどをつけるのか。

 「提案は来ていない。無期限に、ということではない。期限は考えてないが、普通に考えると数カ月から半年だろう。それがなければそれでしょうがない。我が社は互いに契約したことの遂行を求めるというスタンスだ」

 ――上訴審は秋から始まる。数カ月から半年だと、その結果を待ってはいられない。

 「待っていられないという考えはない。(ゼロックスとは)ずっと続いてきた間柄で、その関係は続く。他社とは組めない契約もあり、両社が協力関係を強化している。まずは法廷闘争というのが正しいやり方だ」

 ――買収の対価を引き上げるという考えはあるのか。

 「我々はあくまで契約の履行を迫る。(裁判所の)差し止めはおかしい。仮定の話は現在できない。両社の取締役同士の電話は残っている。やり取りそのものはフェアだから、契約の履行を迫っていく」

 ――(反対株主らが主張する)1株40ドルという水準は。どこが妥当な水準か。

 「40ドルは高すぎる。いまは27.7ドルだ。普通は3割とか上乗せしないといけないが、それはやれない。お金がないわけじゃないが、我々の株主のことを考えると使えない」

 ――(買収に反対している株主の)ディーソン氏らと直接交渉することは。

 「これしかない、と彼らが理解してくれることを望む」

 ――自身の経営責任は。

 「感じていない。メリットを正しく理解してもらうことを強化する。85%の残りの株主がどう考えているのか。富士フイルムの案が一番良いと理解していただきたい」

 ――富士フイルムの株主へのメッセージ。

 「お金を使わないで済んで良かった。ヘルスケアで使わないと。大部分の株主の声はそういうことだ。今の条件ならキャッシュアウトはない」

 ――損害賠償を求めていく際、どの程度の金額になるのか。

 「現在、検討中だ。明確にはない。基本的にはアメリカの会社が相手になるので、アメリカでやる。差し止め命令にも上訴しており、まずは撤回させる」

 ――ゼロックスと合弁契約の見直しを求める声もある。その場合どれだけのダメージになるのか。

 「全くの解消は両社の合意がないとできない。片一方ではできない。25%を保有するゼロックス側にも少数株主としての保護がちゃんとある」

(聞き手は清水孝輔)

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