ボルボ・カー、自動車の半分を定額利用サービスで提供 20年代半ば
【フランクフルト=深尾幸生】スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーは7日、2020年代の半ばに同社が造る自動車の半数を、毎月定額を支払えば自動車や関連サービスを利用できる「サブスクリプション型」のサービスで提供すると発表した。他社に先駆けて移行を進める電動化と並行し、「モノ」を売るメーカーからサービス会社への変身を目指す。
自動車販売は販売店に製品を供給するビジネスが一般的だが、サブスクリプションサービスでは消費者と直接つながることが可能になる。20年代半ばに500万人以上の直接顧客を抱えることを目指す。また、同時期までに売上高の半分を電気自動車(EV)とし、販売台数の3分の1を自動運転車とする。
ボルボ・カーは17年末に「ケア・バイ・ボルボ」と呼ぶサブスクリプションサービスを始めた。頭金不要で、毎月一定額を支払って2年たてば、新しいモデルに乗り換えられる。
多目的スポーツ車(SUV)「XC40」の場合、欧州では月額699ユーロ(約9万円)で保険や修理、タイヤ交換などの追加費用がかからない。大人数で遠出するときなど用途に応じて、より荷物を多く積める車両に一時的に交換することも可能になる。
ホーカン・サムエルソン社長は声明で「消費者の自動車に対する期待は急速に変わっている。ボルボもまた急速に変わらなければならない」と強調した。消費者と直接つながることでニーズを直接くみとり、製品やサービスの開発に生かす。
現在、スウェーデンなどで同社が手がける自動車を宅配ボックス代わりに活用するサービスが一例だ。配達員はスマートフォンで1度だけ使える「デジタルキー」を使い、利用者が不在の場合に自動車の中に荷物を届ける。米ロサンゼルスではデジタルキーを使った洗車や給油の代行サービスの実証実験を進めている。こうしたサービスも定額利用料金のなかで使えるようにする。
サブスクリプション型のサービスは高級車メーカーを中心に広がっている。独ダイムラーのメルセデス・ベンツや独アウディなども始めた。
将来的にEVや自動運転車が普及したときに、自走しての充電やライドシェアの利用などを包括的にサービスとして提供することを見すえた動きだとみられる。17年10月の日本経済新聞とのインタビューでサムエルソン社長は「車両だけにとどまらない、移動にかかわる顧客ニーズに応える企業になる」と話していた。
今回の事業計画の中で、財務面では「ほかの高級車メーカー並みに利益率を高める」との目標も掲げた。17年の同社の営業利益率は6.7%だった。改善しているものの独BMWやベンツと比べるとまだ低い。
親会社である浙江吉利控股集団と協力し、調達コストを下げる。このほか提携する米ウーバーテクノロジーズなどライドシェアのサービス企業への車両提供を拡大する。
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