袴田事件、11日に高裁が再審判断 DNA鑑定の評価は

2018/6/7 17:45
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死刑確定後33年余りを経て静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌さん(82)の再審請求で、東京高裁が11日、再審を認めるかどうかの決定を出す。地裁が再審開始の根拠としたDNA型鑑定の有効性のほか、新たに開示された取り調べ録音テープの評価などが焦点となる。

静岡地裁は2014年3月、犯人が着ていたとされる衣類に付いた血液のDNAが袴田さんとは一致しないとする筑波大の本田克也教授の鑑定結果を基に再審を決定。警察が証拠を捏造(ねつぞう)したとほぼ断定し、「拘置を続けることは正義に反する」と異例の釈放を認めた。

高裁での即時抗告審で、検察側は本田教授の鑑定について「試薬によってDNA検出が困難になった」と疑問視。この鑑定を検証した大阪医大の鈴木広一教授は有効性を否定する報告書をまとめた。これに対し、弁護側は「本田教授の手法を再現しておらず検証は無効」と反論した。

また、検察側は新たに約46時間の取り調べ録音テープを開示し、「犯人しか知り得ない事実を明かした」として自白の有効性を訴えた。弁護側は「虚偽自白を迫った」と主張している。

死刑囚が再審開始決定と同時に釈放された前例はなく、高裁の判断によっては袴田さんの処遇も焦点となる。弁護側は「高齢で持病もある。万が一にも身柄拘束などあってはならない」と強調。刑事訴訟法は身柄の収容を検察官の判断に委ねており、検察側は「心身の状況を調べ、適切に対応する」としている。

袴田さんは釈放後、浜松市の姉、秀子さん宅で暮らす。11日は自ら東京高裁で決定を受け取る予定だ。弁護団の西嶋勝彦団長は「(地裁決定から)4年もの時間が空費され、ざんきの念に堪えない。袴田さんに真の自由を与える決定を期待したい」と話している。

事件は1966年6月30日に発生。静岡県清水市(現静岡市)のみそ製造会社専務宅が全焼し、一家4人の他殺体が見つかった。従業員の袴田さんが強盗殺人容疑などで逮捕されて自白したが、公判で無罪を主張。静岡地裁は68年に死刑を言い渡し、80年に最高裁で確定した。

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