2018年12月12日(水)

膨らむ日銀 債務超過の足音、描けぬ出口戦略

政策研究
コラム(経済・政治)
2018/6/7 17:30
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日銀の自己資本は底をつき、債務超過に陥る――。日本経済研究センターは3月、金融緩和の出口で待ち受ける未来に警鐘を鳴らした。2022年度に2%上昇の物価目標を達成した場合、24年度からの7年間の損失は計19兆円となり、自己資本(8兆円)が吹き飛ぶというのだ。

日銀本店

日銀本店

日銀の資産と負債を図表に示した。3月末時点で528兆円ある資産のうち、448兆円と大半を占めるのが国債で、負債の過半は金融機関が日銀に預ける当座預金だ。日銀が国債を購入し、市中に供給されたお金は民間経済を巡り巡って日銀当座預金に戻ってくる。この5年で、保有国債と比例し、増えてきた。

ポイントは保有国債にも当座預金にも金利があること。国債の利息は日銀にとって収入で、当座預金への利払いは費用だ。17年度はこの収入が1兆2211億円で、費用が1836億円。差額の1兆円あまりが日銀の収益源だった。

だが、出口の局面では利払いが利息を上回る可能性がある。国債利回りが下がり金額ベースで利息は頭打ちだが、将来の利上げ局面では利払いが急増する。当座預金は3月末で378兆円。仮に1%に利上げすれば3.7兆円の利払いが必要になり、逆ざやになる。

損失は利上げのペース次第で大きく変わるし、利上げできる経済環境なら長期金利も上がり、国債の利息収入も増えて損失を抑えられるかもしれない。ただ、日銀は国会で追及されても「具体的な試算を示すのは適切ではない」(黒田東彦総裁)と歯切れが悪い。

日銀もこうした想定に対し、手をこまぬいているわけではない。15年から、国債の利息収入の半分弱(年4千億~5千億円)を将来の損失に備え引き当て、昨年からは国債の購入量も減らしている。表向きは長期金利のゼロ%誘導のためとするが、財務の健全性を確保するねらいもある。

日銀は資本が細っても、民間の企業や銀行のように債務不履行には陥らない。日銀自らが円を発行し、日銀券を刷り続けられるため「資金繰りに行き詰まることはない」(雨宮正佳副総裁)からだ。

だが、日銀が過小資本となれば、信用が揺らぐ。政府の支援が必要になると、金融政策の独立性が脅かされ、通貨の信認を失うおそれもある。会計検査院は「財務の健全性の確保に努めることが重要だ」と日銀に対し、さらなる利益の積み立てなど対応を求める。

異次元緩和を始めた当初は物価を上げることに集中し、財務問題は二の次だった。だが、昨年末ごろからはたとえば1%程度の物価上昇でも長期金利の誘導目標を引き上げられないか、検討を進めている。

しかし物価の上昇率は1%でも遠い。ある日銀幹部は「まだ出口を議論する段階にすら至らないことが、より深刻な悩みだ」と話す。資産ばかり膨らみ、財務のもろさは深刻になっている。

後藤達也、浜美佐が担当しました。

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