2019年6月17日(月)

米、輸出数量規制迫る G7で紛糾必至

2018/6/6 22:13
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【ワシントン=河浪武史】日米欧主要7カ国(G7)は8~9日、カナダで首脳会議(シャルルボワ・サミット)を開く。トランプ米大統領の鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に批判が集中し、貿易問題では紛糾が必至だ。ポピュリズム(大衆迎合主義)政権を自認するイタリアのコンテ新首相の出方も読み切れない。「トランプ時代」のG7はグローバル経済をめぐって分裂含みだ。

G7サミットは米貿易政策巡り紛糾必至だ(2017年の前回会合)=ロイター

G7サミットは米貿易政策巡り紛糾必至だ(2017年の前回会合)=ロイター

「同盟国に関税を課すとは全く受け入れられない」。議長国カナダのトルドー首相は、G7サミットで米国の貿易政策を徹底討議すると力説する。トランプ米大統領は1日、鉄鋼・アルミの輸入制限をカナダや欧州連合(EU)に拡大。日本を含むG7参加国はすべて米政権の「貿易戦争」の相手国になった。

前哨戦である財務相会議(5月31日~6月2日)は「これほど意見が一致しなかったG7は、歴史上、例がない」(ドイツのショルツ財務相)というほど荒れた。日欧カナダはトランプ政権の関税発動を「世界貿易機関(WTO)ルール違反だ」などと攻めたて、議長国カナダは米国を名指しして「遺憾と失望」を表明する異例の声明文を発表した。

各国首脳はサミットでもトランプ氏に包囲網を敷こうと動く。英国のメイ首相は「米国の不当な決定に深く失望した」と表明。トランプ氏との距離が近い日本の安倍晋三首相も「理解しがたい」と批判のトーンを強める。フランスのマクロン大統領は「2カ国間の貿易戦争で解決してはならない。国際社会で立ち向かうのが唯一の方法だ」と主張。サミットでトランプ氏の説得を試みる。

G7は17年5月のタオルミナ・サミットでも、米国の貿易保護策を巡って紛糾した。直前の財務相会合では共同声明から「あらゆる形態の保護主義と闘う」との定番文句を削除。サミットではトランプ氏が土壇場で折れて、共同声明に「不公正貿易に対抗しながら、保護主義と闘う」との文言を入れ込み、何とか体裁を取り繕った。

ただ、その後の1年間で米政権の保護貿易策は一段と強まり、日欧カナダは鉄鋼の輸入制限という実力行使を阻止できなかった。今回のサミットは"文言の攻防"にとどまらず、自国の産業と雇用をかけて、米政権の輸入制限を撤回できるかが成否の境目となる。

もっともEU高官は「通商問題が今回解決できるとは思っていない」と悲観的だ。トランプ氏は「貿易戦争には負けない」などと連日、ツイッターで表明し、一歩も引き下がる気配をみせない。5月下旬には自動車にも追加関税を課す可能性を表明し、11月の中間選挙を前に保護貿易策は極限に向かいつつある。

政権が発足したばかりのコンテ伊首相も台風の目だ。コンテ氏は5日、G7会議に初参加すると表明して「米国がイタリアにとって伝統的に特別な同盟国であることを再確認する」と力説した。

コンテ氏を支持するポピュリズム政党「五つ星運動」と「同盟」は、「イタリア産農産物の保護」を政策に掲げ、トランプ氏と同様に「自国第一主義」を鮮明にする。トランプ氏と新顔のコンテ氏が保護貿易策で"共鳴"すれば、G7の亀裂は決定的になる。

1975年、仏ランブイエに主要国が集い「開放された貿易体制」を掲げて始動したサミット。G7参加国の経済規模は1980年代後半、世界全体の7割を占めたが、中国などの台頭で今では46%にすぎない。G7はその理念も規模も土台から揺らいでいる。

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