2018年6月23日(土)

発電用石炭、2カ月で2割上昇 中印で需要増

2018/6/5 20:30
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 発電燃料に使う石炭(一般炭)のスポット(随時契約)価格がアジア市場で一段と上昇し、2カ月で約2割高となった。世界1、2位の石炭消費国である中国とインドの需要増で、市場では逼迫感が強まっている。高止まりが続けば、日本の電気料金を押し上げる要因になる。

中国の発電需要は天然ガスで賄いきれない(河南省の石炭火力発電所)=ロイター

中国の発電需要は天然ガスで賄いきれない(河南省の石炭火力発電所)=ロイター

 指標となるオーストラリア産は1トン110ドルに迫っている。4月につけた今年の直近安値からの上げ幅は2割近くに達し、約1年半ぶりの高値水準にある。

 中国の1~3月の一般炭の輸入量は前年同期比で4割増えた。中国当局は大気汚染を抑えるため、燃料を石炭から環境負荷の少ない天然ガスに切り替える政策を推進。昨年後半に液化天然ガス(LNG)の輸入を急増させたが「供給が足りず、石炭頼みの構図が続いている」(日本の石炭トレーダー)。

 中国・鄭州商品取引所の一般炭の先物は1カ月前に比べ1割強高い。当局は5月下旬、国内の電力会社に石炭在庫の積み増しをやめるよう指示したと報じられた。

 インドは一般炭の輸入を減らす政策が思うように進んでいない。市場では2018年の輸入は増加に転じるとの見方が強まっている。国内の電力需要が膨らむ一方、自国産の石炭を国内で運ぶ輸送インフラの能力に限界がある。

 供給面ではインドネシアが内需を優先し輸出を減らすとの分析があるが、中印両国の需要の伸びが相場上昇の最大の背景だ。野村証券の大脇絵里エコノミストは「中印とも電力需要が強い。夏に向け一般炭需要が一段と拡大し、価格がさらに上昇する可能性がある」と指摘する。

 日本の電力会社は一般炭の多くを年間契約で調達しているが、価格交渉はスポット相場にも影響される。「原子力発電所の再稼働が進んでも、一般炭の輸入価格上昇は電気料金の押し上げ要因になる」(東日本の電力会社)。日本の電気料金は貿易統計に基づく原油、LNG、石炭の3カ月分の平均価格を反映し、自動的に調整される仕組みになっている。

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