四国唯一の「防災ガール」 Spinto代表 桑村美奈子さん(語る ひと・まち・産業)
若者の危機意識高める

2018/6/6 12:00
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日本ではたびたび大きな自然災害が起きる。スポーツイベントなどを企画する個人事務所「Spinto」(高松市)の代表、桑村美奈子さん(37)は、防災を身近にしようと全国の女性が集まった一般社団法人「防災ガール」(東京・文京)に、四国内で唯一、参加している。若い世代に防災に関心を持ってもらおうと活動を続けている。

 くわむら・みなこ 1981年東京都中野区生まれ。東京農業大卒業後、国際協力のNPO法人のスタッフとして香川県で過ごす。帰京後、イベント会社などを経て、2015年4月に香川に移住、Spintoを設立。

くわむら・みなこ 1981年東京都中野区生まれ。東京農業大卒業後、国際協力のNPO法人のスタッフとして香川県で過ごす。帰京後、イベント会社などを経て、2015年4月に香川に移住、Spintoを設立。

「防災ガールは東日本大震災をきっかけに、防災が当たり前の世の中にしていこうと、2013年に活動が始まった。現在は10~30代の約20人の女性が活動している」

「私が加わったきっかけは16年4月の熊本地震。前年の15年に東京都から香川県に移住してきたが、熊本地震が起きた際、避難所がどこにあるのか知らないことに気づいた。都内在住時に東日本大震災を経験し、自分の中で危機意識があったが、香川にきてすっかり薄れていたのだと思う」

「高松市から委嘱を受けて移住リーダーを務めるが、大きな災害が起きた場合のことを想定して移住している人はほとんどいないのではないか。また、瀬戸内海に面した香川に大きな津波は来ないと考えている地元の人は多いだろうが、常識は疑わなければならない。私は防災ガールで、防災情報の発信を主に担当している。香川に住み、芽生えた問題意識だが、全国的な課題として防災意識の向上に取り組みたい」

海に囲まれる四国は、津波対策が重要な課題。防波堤や堤防などハード面の整備だけでは不十分で、素早く避難する体制整備も重要となっている。

「日本財団の協力を得て、津波から身を守る『#beORANGE(ハッシュビーオレンジ)』と呼ぶ活動を進めている。これは高台などにオレンジのフラッグを掲げ、サーファーなど海の近くにいる人に避難先を伝えるほか、津波の恐れがある場合はフラッグを振って、避難するよう合図を送るプロジェクトだ」

防災ガールに参加する桑村さん(後列の左から4番目)

防災ガールに参加する桑村さん(後列の左から4番目)

「オレンジのフラッグは全国73市町村に165本が設置され、四国では高知を中心に展開している。東日本大震災では津波で多くの命が失われたが、海とともに生きる視点が重要だ」

大規模災害への備えとして、防災意識の向上も課題だ。興味のない人に、どうすれば関心を持ってもらえるか。スポーツイベントを企画する際の視点と防災ガールの活動には共通点があると話す。

「高松法人会と連携し、『スポーツ税金鬼ごっこ』を秋に開催している。体を動かしながら、税金の仕組みを学べるこのイベントに、昨年は約100人の子供が参加した。『若い人が防災訓練に来ない』という声を聞くが、そうであるならば来たくなる防災訓練を考えれば良いわけで、これまでの経験を生かすことができる」

「日本は自然災害が多く、どう克服していくか、世界が注目している。国内の防災について、ハード面は世界でもかなり最先端ではあるが、意識というソフト面においてはいまだに低く、防災ガールとして底上げに貢献していきたい」

香川、2つの大地震想定

《一言メモ》政府の地震調査研究推進本部によると、香川県周辺では海溝型地震として2つの地震が想定されている。一つは南海トラフ地震で、マグニチュード(M)8~9クラスが30年以内に70~80%の確率で起こるとされている。もう一つは安芸灘、伊予灘、豊後水道を震源とする地震で、M6.7~7.4の地震が40%の確率で起きると推定している。

香川県は3月、南海トラフ地震に備えた新たな行動計画を策定した。2016年の熊本地震の反省を踏まえ、障害者など避難時の要支援者の状況把握などに取り組むことを盛り込んだ。

高松市では防災合同庁舎(危機管理センター)の運用が5月から本格的に始まった。災害時に24時間体制で対応する。

(高松支局 辻征弥)

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