2019年6月26日(水)

半導体市場、19年は1桁成長 需要伸びても単価下落

2018/6/5 20:00
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世界の半導体市場の拡大ペースが鈍化するとの観測が出てきた。主要半導体メーカーの見通しをまとめる世界半導体市場統計(WSTS)は5日、市場規模は2018年まで毎年2桁拡大するが、19年は4%増と3年ぶりの1桁成長にとどまるとの予測を発表した。ビッグデータの利用拡大などでデータを記録するメモリー半導体の需要は伸び続けるが、増産により価格が下がるとの見方だ。

サムスン電子などで増産投資が進んでいるが…(韓国内にある同社の半導体工場)

WSTSは韓国サムスン電子など世界の主要半導体企業が参加。半年に1回、2年分の市場予測を公表する。17年実績は16年比22%増の4122億ドル(約45兆円)と初めて4000億ドルを突破した。18年は12%拡大と従来見通しを5ポイント上方修正する一方、19年見通しは4837億ドルと4%の拡大にとどめた。

成長鈍化の主因はメモリー価格の下落だ。メモリーはスマートフォン(スマホ)やデータセンターのサーバーなどで利用が急増しており半導体全体の約3割を占める。WSTSによると市場規模は17年は62%、18年も27%拡大するが、19年は4%まで伸び率が下がる。

メモリー以外の半導体には家電製品などに使うアナログ半導体や、自動運転などに不可欠のセンサーなどがある。少品種大量生産されるメモリーと違い、用途ごとに仕様を決めて多品種少量生産するその他の半導体は価格が変動しにくい。需要も緩やかな拡大が続くため、半導体全体の市場規模はメモリーの動向に大きな影響を受ける。

メモリーの減速についてWSTSの日本の担当者は「過去の市場変動パターンを織り込んだ」と説明する。13~14年にも2桁の成長が続いたが、需要拡大を織り込んで各社が増産を進めた結果として15~16年には価格が下がり、市場規模が縮小したことがある。

足元でも値下がりは起こっている。メモリーの一種であるNAND型フラッシュメモリーは年初に比べて約2割安くなった。単価下落がかすむほど急速に需要が拡大しているため市場は好調を保っている状況だ。

東芝メモリの成毛康雄社長は「記憶容量の伸びを上回る価格下落はない」と現状が続くとの見方を示す一方で、英調査会社のIHSマークイットの南川明主席アナリストは「市場規模は17、18年にいったんピークを迎える」と慎重だ。IHSは価格下落により半導体市場全体の成長率は18年に1桁に落ち、19年には横ばいになると予測する。

メーカーの投資意欲は旺盛だ。韓国サムスン電子は大規模集積回路(LSI)などを含めた半導体事業全体で17年に2.8兆円を投じた。米調査会社ICインサイツによると半導体企業全体の設備投資は18年に前年比14%増える。中国では紫光集団が総額3兆円を投じる湖北省武漢市のメモリー工場が年内に稼働する見通しだ。

もっとも、価格低下でメモリー需要の拡大が加速する可能性もある。半導体製造装置大手、東京エレクトロンの河合利樹社長は「NAND型は価格が下がった方がデータセンター向けの市場が拡大する」と話す。「中国のスマホメーカーが新機種でメモリー搭載容量を増やしている」(海外メモリーメーカーの営業担当者)との見方もある。

メモリー価格の下落でどこまで需要が拡大するかが当面の注目点になりそうだ。

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