2018年8月21日(火)

大阪ガス、守りの電気値下げ 限られる余力

環境エネ・素材
関西
2018/6/5 19:00
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 大阪ガスは5日、7月1日から電気料金を引き下げると発表した。関西電力が7月から値下げすることに対抗、使用量が多いほど割安になる料金体系にした。ただ競争が最も激しい使用量が標準的な家庭(月260キロワット時)の値下げ率は1.9%にとどまり、関電よりやや見劣りする。足元では関電に押され気味で、守りの姿勢が目立っている。

電気料金引き下げを発表する大阪ガスの狭間一郎リビング計画部長(5日、大阪市北区)

 値下げは2017年8月以来、1年ぶり。関電は電気料金を家庭向けで平均4.03%引き下げるとしているが、大ガスは平均の値下げ幅は示していない。

 前面に打ち出しているのは、使用量が多い家庭(月370キロワット時使用、ガスとセット)で4.6%、再生エネルギー賦課金込みだと4.1%の値下げとなる点だ。一方使用量が260キロワット時の平均的な家庭では1.9%の値下げにとどまる。

 ガスとのセット料金同士で比較すると、値下げ後も関電の方が依然として割安だ。関電が4月に始めたガスとのセット料金「なっトクパック」と比較して試算すると、関電が年間5200円程度安い計算となった。

■優位な構図に変化

 大ガスは16年4月の電気への参入後、ガスとのセット割引で割安感を維持し、当初は優位に戦いを進めてきた。昨年夏からの原発再稼働で関電が徐々に息を吹き返し、構図が徐々に変わりつつある。

 大ガスの電気の顧客獲得件数と関電のガスの獲得件数を累計実績から比較すると、関電がガス小売りに参入した17年4月以降、12月ごろまでほぼ互角の戦いが続いていた。

 しかし、今年に入り情勢が変化した。2月発表の関電の「なっトクパック」は使用量に関わらず電気とガスのセット料金が割安になる内容。関電の新年度の転居の需要を見越した営業戦略なども寄与し、18年1~3月は関電に水をあけられた。4月単月では関電が8万件上積みしたのに対し、大ガスの件数増加ペースは3万件にとどまる。

 関電は今後、大ガスの対抗値下げを受けてさらなる対抗策も検討するもよう。5基目となる美浜原発3号機が20年に再稼働すれば、さらに値下げ余地が生まれる。

 一方の大ガスには値下げ余力が限られているのが実情だ。同社は液化天然ガス(LNG)の火力発電所や太陽光、風力発電など自社電源を約200万キロワット持ち、電力小売りの大半をこれらでまかなっている。

 原発を再稼働させた関電との調達コストの差は大きいとみられる。今回の値下げ幅について大ガスの狭間一郎リビング計画部長は新たな料金体系について「総合的な要素を勘案して決めた」と話すにとどめた。

■首都圏で営業攻勢

 本丸であるガス事業の採算悪化もマイナス材料だ。19年3月期の販売量計画は家庭用で前期比9.4%減、業務用で10.2%減。19年3月期のガス事業の粗利益は229億円のマイナスを見込み、大半は販売量の減少によるものだ。顧客の流出がとまらない限り、収益改善は厳しい。ガスでも関電が安値攻勢をかけるなか「特効薬がない」(本荘武宏社長)のが現状だ。

 望みを託すのは首都圏など関西以外での営業攻勢だ。中部電力と設立したCDエナジーダイレクト(東京・中央)を活用して首都圏での電気・ガスのセット売りに参入する予定。東京急行電鉄グループ傘下の新電力とも提携し販路を広げる。

 しかし首都圏での競争も激しく、後発で短期的に件数を積み上げるのは厳しい。当面は、お膝元の関西でどれだけ体力を維持できるかが問われてくる。(川上梓)

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