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理不尽な指導から決別を 自立した選手育てよう
編集委員 北川和徳

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2018/6/6 6:30
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日本大学アメリカンフットボール部が起こした悪質タックルの問題で個人的に最も残念だったのは、選手の人格をまるで認めない指導がチーム内でまかり通っていたことだった。おまけにそのチームが2017年の学生日本一という結果も残していた。

理由も告げずに試合のメンバーから外す。せっかく選ばれた日本代表にも行くなと命じる。精神的に追い込むことによってむちゃな指示にも従わせようとする。そんな試練が選手を成長させると考える――。関東学生連盟は日大の内田正人前監督らを除名とした処分で「どんな理不尽でも『はい』と答えるのが内田フェニックスの掟(おきて)だった」とまで言い切った。

日大アメフト部では選手の人格をまるで認めない指導がまかり通っていた

日大アメフト部では選手の人格をまるで認めない指導がまかり通っていた

スポーツ界の一部にゆがんだ上意下達の支配が残るのを知らないわけではないが、学生日本一になったチームの実態がそうだったとわかると気分が悪くなる。

ある程度までは強くなっても…

日大アメフト部に限らず、こうしたやり方で結果を出す指導者は少なくない。高校や中学の部活動レベルだとさらに増えるだろう。強権的な指導者が交代した途端に弱くなるチームもしばしば目にする。スポーツの世界の外に目を向けても、子どもの教育や会社の研修などで「強くするため、立派に育てるためには、理不尽な試練が必要だ」と信じる人は意外に多い。

それがまた悩ましく、悔しい。この騒動の最中に、5月25日付本紙朝刊スポーツ面のコラム「サッカー人として」を読んで、思わず手をたたきたくなった。

筆者の三浦知良氏も、そんな組織がある程度までは強くなることを認める。そして「『理不尽』の限界」をシンプルにこう主張する。「そのやり方でJ3からJ2、J2からJ1へと上がっていくのはできても、J1優勝となると難しいよ」。結局はレベルが低いのである。

J1優勝だとイメージしづらいのだが、私にもワールドカップの優勝が監督の指示にただ服従するだけの選手たちによってなし遂げられるとは絶対に思えない。

厳しい指導や練習の効果は否定しないが、理不尽さは排除したい。なぜそれが必要かという理由を納得できないまま追い込まれたところで、その先の自発的な成長にはつながらない。中学生や高校生ならまだレベルが低いから許されるという問題でもない。

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