2018年11月14日(水)

アップル、フェイスブック問題への「甘くない」回答

AI
2018/6/5 11:00
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米フェイスブックによるずさんな個人情報の扱いが、他の主要ネット企業の戦略にも影響を及ぼし始めた。米アップルは4日、交流サイト(SNS)などがブラウザーから個人情報を捕捉しにくくする措置を発表。スマートフォンでのSNS利用も同社とグーグルが制限機能を開発済みだ。お膝元であるシリコンバレー企業からの逆風がフェイスブックに吹きつけている。

インスタグラム利用制限機能を説明するアップルのフェデリギ上級副社長

■SNSの個人情報取得に制限

「あなたたちの個人データは個人のままであり続ける」。同日、米サンノゼ市の開発者イベントに登壇したアップルのクレイグ・フェデリギ上級副社長はこう述べ、同社がプライバシーを重視していることを訴えた。

目玉はiPhoneやMacで使われる基幹ブラウザー「サファリ」を改良し、SNSによる個人情報の取得を難しくしたことだ。従来、SNS企業と協業する広告主は自社のホームページ上にもうけた「いいね!」や「シェアする」「コメントする」といった機能を通じて閲覧者の個人情報を取得することができた。アップルは今後、これをユーザーの許可が無しにはできないようにする。

この措置はフェイスブックのビジネスに影響が出る。ターゲティング広告を広告主に提案しにくくなり収益力が落ちかねない。アップルはフェイスブックのように広告収入に依存しているわけではない。最高経営責任者(CEO)のティム・クック氏が「プライバシーは人権」と言い切るアップルならではの対応だ。

この日、アップルはスマホの基盤提供者(プラットフォーマー)としてもフェイスブック問題に一石を投じた。スマホアプリの利用時間を設定できるようにする機能だ。イベントで表示されたデモ画面では、フェイスブックやその傘下の写真共有サイト、インスタグラムのアプリが表示された。

これは、スマホの閲覧が人の時間を奪っているという外部団体などの批判に対応した措置だ。フェイスブックは、広告効果を上げるため「ユーザーにどれだけ長くアプリを使ってもらえるか」を追及してきた。それが「スマホ中毒」批判を招き、結果的にターゲットにされている。

■グーグルも使いすぎ防止対策

スマホアプリの時間制限は、アップルと同様にスマホ基本ソフト(OS)の市場を握るグーグルも5月に導入を発表した。時間制限を設定できるアプリを使うと、所定の時間に画面がグレーに変わって「使いすぎ」を知らせる。担当幹部は「こうした機能があることでユーザーは自分のスマホ利用を客観的に見れるようになる」と話す。

モバイル端末を通じてユーザーを増やしてきたフェイスブックだが、今やそのモバイル関連企業から煙たがられる存在となっている。

アップルやグーグルによるフェイスブック包囲網のようにも見えるが、それほど単純な話ではない。アップルはアプリ利用制限のデモの直後、メッセンジャーアプリ向けの新たな絵文字の技術を発表した。結局はアプリの長時間利用を促すかのような矛盾をはらんだ内容となった。

グーグルも自社に動画投稿サイトの「ユーチューブ」を抱える。同サイトもフェイスブック同様に人をくぎ付けにする力が強いといわれている。総論では「スマホの長時間利用は問題だ」となっても自社戦略がからんだ各論では踏み込みづらい面がある。

■ネット成長時代の終わり

フェイスブックを含めて各社が最終的に行き着くのは飽和状態に近づくインターネットの世界でのユーザーの取り合いだ。著名アナリストのメアリー・ミーカー氏は17年に世界人口の49%がインターネットを使っていたと分析。「50%に達した後の成長性は予測しにくい」とやや悲観的だ。

大きくなるパイとともに皆が成長できた時代はネット世界でも早晩終わる。これまで大まかな事業の住み分けを進めてきたシリコンバレー各社のけん制は、フェイスブック問題だけでなく市場そのものの変化を象徴している。

(シリコンバレー=中西豊紀)

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