2018年12月13日(木)

精神医療問う100年 医師の生涯、映画に

2018/6/5 10:55
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「我が国十何万の精神病者は実にこの病を受けたるの不幸の外に、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし」。精神疾患がある人を自宅に閉じ込める「座敷牢」の実態を100年前に調べ、「二重の不幸」だとして解決に尽力した精神科医・呉秀三(1865~1932年)の生涯を描くドキュメンタリー映画が完成した。2日から東京で公開。

呉秀三医師(映画告知用のパンフレットから)=共同

映画のタイトルは「夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年」。大阪府や兵庫県で昨年末以降、障害がある人が親に自宅で長期間監禁されていたケースが発覚した。

精神医療の現場でも患者の身体拘束や隔離などの問題が指摘されており、上映を企画したきょうされん(障害者が通う作業所の全国組織)の藤井克徳専務理事(68)は「歴史は今を変えるためにある。呉がたどった足跡から、現代に続く課題を考えてほしい」と話す。

呉は広島藩医の息子として江戸に生まれ、ドイツなどに留学後、東京帝国大学医科大学(現東大医学部)教授に就任、東京府巣鴨病院(現東京都立松沢病院)の院長も務めた。

当時は精神障害者のための公的施設が少なく、1900年制定の精神病者監護法は親族が自宅に閉じ込めて監護する「私宅監置」を認めていた。呉は300以上の監置室の実態を調査し、悲惨な状況を明らかにしたほか、病院での拘束具廃止などに取り組んだ。私宅監置は50年に廃止された。

映画は東京のアップリンク渋谷で2日から上映。6月下旬から各地で自主上映も予定されている。〔共同〕

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