2018年6月25日(月)

民泊3陣営「体験」を前面に 古民家1棟貸しや盆栽

ネット・IT
住建・不動産
サービス・食品
2018/6/4 19:34
保存
共有
印刷
その他

 住宅に旅行者を有料で泊める「民泊」の解禁が6月15日に迫った。楽天子会社などは4日、全国に点在する古民家を民泊施設に転用すると発表するなど、解禁をにらみユニークなサービスが相次ぐ。民泊は旅行を楽しむ消費者の選択を広げるほか、訪日観光客の受け入れ体制の拡充が期待される。仲介最大手の米エアビーアンドビーやJTBなど大きく3陣営がサービス開発を競う。

 「古民家は空き家が多いが、大人数で泊まりやすい。宿泊施設にして観光活性化につなげる」。楽天グループで月内にも民泊サイトを始める楽天ライフルステイ(東京・千代田)は4日、全国古民家再生協会(東京・港)と協力し、古民家を民泊施設に転用するサービスを始めると発表した。年内にまず30棟の開発をめざす。

 同協会が古民家の安全性などを鑑定。1棟を共同所有する会員制度で改修費などの出し手を募り、会員が使わない期間に民泊として貸す。楽天ライフルが清掃手配や電話応対など運営を代行し、米仲介大手ホームアウェイのサイトでも施設を紹介する。

 空港や鉄道駅から民泊施設までの送迎サービスも順次広げ、日本人だけでなく訪日外国人の需要を取り込む。訪日観光客は東京や京都、大阪といった「ゴールデンルート」に飽き足らず、スキーや陶芸、地方の山間部訪問など「体験型」の旅行を楽しむ人が増えている。

 15日に迫った住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行を前に、異業種が組んで需要を取り込む動きが相次いでいる。

 エアビーはファミリーマートや全日本空輸グループと協業。コンビニエンスストアでカギの受け渡しや本人確認を可能にするほか、航空券と民泊のセット販売を提供する。エアビーは着物の着付けや盆栽、サイクリング、料理といった「体験型」のプログラムも拡充。サイト上で約1千ものメニューを予約できるようにした。

 JTBは仲介サイトを運営する百戦錬磨(仙台市)と提携。百戦錬磨が扱う施設をJTBの訪日客向けの予約サイトで紹介するほか、住友林業などと協力し新しい民泊施設の開発を進める。

 訪日客は2017年に2800万人を超えた。観光庁によると、18年1~3月には12%が民泊を使った。政府は訪日客数を20年に4千万人、30年に6千万人に増やす計画を立てており、民泊は受け入れ施設の不足を補う役割も果たす。

 一方、各社が気をもむのが新法施行後に施設数が一時的に減る「新法ショック」だ。民泊新法では自治体に届け出れば年180日を上限に営業できる。ただ手続きが煩雑なうえ、条例でさらに厳しい規制を定める自治体も多い。これらを嫌って民泊の運営をやめる家主が増えている。

 エアビーなどはこれまで、現行の国内ルールの許認可などがない施設も載せてきた。同社は施行に先立ち、そうした施設の掲載を中止。今春に約6万2000件あった登録物件数は、足元で約1万3800件に減った。ただ、JTBなど大手の参入もあり、利用可能な物件数は20年に10万件を超えるとの予測もある。民泊解禁で新しい需要を掘り起こそうと、各社の知恵比べが本格化する。

保存
共有
印刷
その他


[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報