2019年6月27日(木)

米失業率18年ぶり低水準 雇用改善、利上げ後押し

2018/6/1 23:16
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【ワシントン=河浪武史】米労働省が1日発表した5月の雇用統計は、失業率が前月から0.1ポイント低い3.8%となり、18年ぶりの水準に改善した。景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数も前月比22万3千人増と好調だった。同統計を重視する米連邦準備理事会(FRB)は、12~13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げに踏み切る方向だ。

失業率は2000年4月(3.8%)以来、18年1カ月ぶりの水準となった。FRBが中長期的に巡航速度とみる水準は4.5%で、足元の雇用情勢には逼迫感がにじんでいる。

雇用者の増加幅も前月(15万9千人)より改善し、市場予測(19万人弱)を上回った。米景気は1~3月期の実質経済成長率が前期比2.2%(年率換算)とやや鈍化したが、大型減税の効果などで就業環境は引き続き好調だ。

雇用者の伸びを業種別でみると、トランプ米大統領が雇用にこだわる製造業は1万8千人増と底堅い。小売業も3万1千人増と好調で、減税による個人消費の押し上げに期待感がある。設備投資や住宅投資が伸びており、建設業は2万5千人増えた。

もっとも、賃金の伸びは依然として緩やかだ。平均時給は26.92ドルと前年同月比2.7%増だった。伸び率は改善傾向にあるが、08年の金融危機前の3~4%には届かない。雇用情勢の逼迫がどこまで賃金を押し上げるかが、先行きのインフレ率を大きく左右しそうだ。

FRBは12~13日に次回のFOMCを開くが、雇用情勢の底堅い改善を受けて3月に続く利上げを検討する。既に5月の会合でFOMC参加者は「早期の利上げが適切だ」(同会合の議事要旨)と判断しており、先物市場も94%という高確率で次回会合での利上げを織り込んでいる。利上げを決断すれば、政策金利は1.75~2.00%となり、超低金利政策からの脱却が鮮明になる。

焦点は先行きの利上げペースだ。FRBは3月の会合で、18年の利上げ回数を3回とする中心シナリオを公表した。既に3月の同会合で利上げに踏み切り、6月の次回会合でも利上げすれば、年内はあと1回という計算だ。

ただ、物価上昇率(個人消費支出物価指数、前年同月比)は3月、4月とも目標の2%に到達し、エネルギーや食品を除くコア指数も1.8%に高まった。低インフレの懸念が薄まり、市場には利上げ回数が年4回(3月、6月、9月、12月)に増えるとの観測が浮上。FRB高官も「18年の利上げ回数は3~4回が適切だ」(サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁)と、徐々に利上げ加速論に傾いている。

その障壁となるのが、イタリアの政治情勢に端を発した金融市場の混乱だ。イタリア国債は5月初旬に1.8%程度だった10年債利回りが、政局混乱で5月29日には3.4%近辺まで上昇。不良債権比率の高い同国の銀行セクターも株価急落に見舞われた。政局不安はスペインにも飛び火し、FRBは「イタリアの政局がリスクとなり、欧州市場は幾分軟調だ」(ブレイナード理事)と警戒感をにじませる。

市場が不安視するのは、FRBの利上げによって金融危機後に積み上がった過大債務のリスクが浮き彫りになることだ。イタリアの主要銀行の不良債権比率は11%とユーロ圏平均の2倍超だ。アルゼンチンなど新興国も米利上げに端を発した通貨安に苦闘しており、FRBの「金融政策の正常化」(パウエル議長)は世界景気そのものを引き締め始めている。

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