2019年8月22日(木)

配送費値上げが打撃、途上国ビジネスに活路
(追跡IPO企業)リネットジャパングループ

2018/6/4 6:30
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2016年12月に東証マザーズに上場したリサイクル大手のリネットジャパングループ。中古品のネット買い取りと小型家電リサイクルが主力だが、新たに発展途上国向けビジネスに参入。国連目標に沿って、環境や社会問題を解決できる分野の融資が新たな収益源になりつつある。ただ国内事業が足踏みしており、株価は伸び悩んでいる。

■カンボジアに進出

4月5日、リネットの黒田武志社長はカンボジアにいた。現地企業との合弁会社「メトレイHR」を設立し、その発足式を開いたからだ。

パソコン回収時の作業の様子。家電リサイクルは赤字が続いている

パソコン回収時の作業の様子。家電リサイクルは赤字が続いている

カンボジアから日本に人材を送り、自動車整備士を養成する事業を始める。カンボジア政府から許認可を獲得。受け入れ先の整備工場を確保するため、京都府や滋賀県の自動車整備振興会などと協業した。「自動車以外にも広げ、3年後は年1千人規模に拡大させたい」(黒田社長)。仲介業務を収益化する狙いだ。

カンボジアでは昨年、農機など車両リースに本格参入した。今年8月までに現地の小口融資(マイクロファイナンス)を買収して、天候災害保険や太陽光発電への融資などを手掛ける予定だ。

「ビジネスで社会課題を解決することが、創業以来の考えだ」。黒田社長は途上国で新事業に乗り出す理由をこう語る。

その後押しとなったのは、国際連合が15年に定めた「持続可能な開発目標」(SDGs)だ。30年をゴールに地球上で解決すべき社会的課題として、気候変動対策や資源保護、貧困や飢餓の撲滅など17項目を定めた。

グローバル企業は自社の事業が17項目のどれに貢献するかを照合して公表するなど、SDGsをビジネス機会とする考えが世界で広がっている。リネットもこの潮流を意識している。

2000年、ネットを通じた中古本リユース会社として創業。DVDやゲーム、楽器、スポーツ用品など取扱品目を拡大させてきた。13年にはリサイクル事業に参入し、携帯電話やパソコンを含む小型家電で独自の回収モデルを作り上げた。

金など希少金属を豊富に含む小型家電は使えなくなっても価値がある。「都市鉱山」と呼ばれるゆえんだ。リネットは佐川急便と提携。ネットで申し込んで段ボール箱に廃家電を詰めておけば、佐川急便が自宅に回収に来る仕組みを作った。

回収率向上を図る自治体との連携も拡大。現在は横浜市や京都市など協定を結んだ150を超える自治体がリネットのサービスを広報する。

資源循環で独自のビジネスモデルを構築したことが評価され、16年12月20日の上場時、初値は3530円と、公募・売り出し価格(1830円)を93%上回った。

■国内事業は足踏み

ただ、足元の収益環境は厳しい。18年9月期の第2四半期(17年10月~18年3月)の連結売上高は、前年同期比22%増の21億円で、営業損益は4200万円の赤字(前年同期は6100万円の黒字)だった。出品先のアマゾンジャパン(東京・目黒)が配送手数料などを値上げしたことが響き、主力の中古品リユースが赤字転落した。17年3月に1株を5株にする株式分割を実施。現在の株価は600円前後で上値を抑えられている。

配送コスト上昇は国内全産業共通の課題で、単独での解決は望めない。成長に向け新たな収益源を確立できるか。リサイクル事業はまだ貢献度が小さいが、20年の東京五輪・パラリンピックではメダルを国内で集めた小型家電に含まれる貴金属で作ると大会組織委員会は表明。小型家電リサイクル促進につながると期待されている。途上国ビジネスでは2700万円の黒字を計上するなど、成果が出始めている。

資源循環や途上国ビジネスなど社会課題解決に向けた市場は拡大が確実だ。ネットビジネスのような瞬発的な成長は難しいが、社会で認知や浸透が進むほど、会社は持続的に成長する潜在力をもつ。  (榊原健)

[日経産業新聞 2018年6月4日付]

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