2019年8月25日(日)

所有者不明の土地、解消へ一歩 政府が対策案
放棄制度は難航も

2018/6/1 21:00
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政府は1日、所有者が分からない土地の解消に向けた対策案をまとめた。実態を把握するための地籍整備を加速するほか、相続登記の義務化、登記官の権限強化などを打ち出し、解消に向けて一歩前進する。ただ焦点となる所有者に土地放棄を認める仕組みは今後の具体的な制度づくりが難航することも予想される。

対策は主に国土交通省と法務省の関連法改正を軸に、20年までに具体化を進める。増田寛也元総務相らの研究会の試算では、所有者不明土地は2016年時点で約410万ヘクタールある。九州本土よりも大きい計算になるが、正確な面積と所在地は把握されていない。

政府は国土調査法を改正し、土地の所有者や面積などを記す地籍の整備を急ぐ。客観的な資料などがあれば所有者の立ち会いなしで地籍を確定できる制度の条件を緩和する。衛星写真や民間の測量結果なども活用する。

所有者の氏名や住所が正確に登記されていない土地については、登記官に所有者を特定する調査権限を与える方針だ。登記と戸籍の情報を連携させ、所有者を調べるシステムを構築。自治体が把握できる所有者の死亡情報と国が管理する登記情報を結び付け、誰が現在の所有者なのか迅速に調べられるようにする。

政府案では、土地所有者の責任についても焦点を当てた。現在は任意となっている相続登記の義務化を検討。その上で、土地基本法を改正し「所有者の責務」を明記する方向で議論を進める。具体的にどのような責務を課すかは、今年度以降の審議会で詰める。

所有者が土地所有権を放棄する制度も検討する。ただ放棄された土地を誰が管理するのか、管理する費用を誰が負担するのかなどを巡って調整が難航することが予想される。自民党が5月23日に開いた特命委員会では「税収減につながる」「放棄し放題になる」などと懸念する声が出た。

政府は当面の対応策の方向性を示したが、高齢化の進展に伴って所有者が分からない土地は今後も爆発的に増える見通しだ。増田元総務相らの試算では、対策を講じないままだと、40年にこうした土地の面積は北海道本島(約780万ヘクタール)の規模に迫り、経済損失額は累計約6兆円になる。

一連の対策を着実に実行したとしても、問題を抜本的に解決するには不足感は否めない。土地に対する需要が大きく違う都市部や過疎地の実情に合わせた、きめ細かな政策も必要となる。増田元総務相は「既存制度の延長線上の施策ではなく、現代版の検地制度のような抜本的な集中対策が必要になるだろう」と指摘している。

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