経営に緊張感と透明性求める 企業統治指針改定
有望な人材獲得が課題

2018/6/1 21:00
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東京証券取引所が1日改定した企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)では、持ち合い株と言われる政策保有株の削減を上場企業に強く求めた。取引先などと株を持ち合うと株主からの監視の目が緩くなる。経営の緊張感を低下させるとして他の株主から批判が強い。取締役会の多様化も一段と進めるように要望した。ただ、社外取締役の候補は限られており、人材獲得が企業の課題となる。

新たな指針では政策保有株式について「縮減に関する方針・考え方を開示する」との項目を加えた。政策保有株の保有を続ける場合は目的が適切か、保有している効果があるかなどを具体的に検証し、その内容を開示すべきだとしている。

東証はこれまでも持ち合いの解消を促してきたが、企業からは「持ち合いの解消を申し出ると相手企業との取引に影響が出る」など否定的な声もあった。改定した指針では持ち合い相手から株売却などの意思が示された場合、取引の縮小を盾に売却を妨げるべきではないとも明記した。

持ち合い株を多く保有すると経営の緊張感が薄れ、資本効率も下がる。ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパンの小口俊朗代表は「政策保有株の比率が高い企業ほど経営の効率性を示す自己資本利益率(ROE)が低い」と指摘する。

日本企業の持ち合い株は減少している。最近ではヤマハが保有していたヤマハ発動機の株を売却した。資生堂日本瓦斯も金融機関との持ち合い解消を進める。野村資本市場研究所の調査では主な上場企業の持ち合い株が時価総額に占める比率は1990年代には3割を超えていた。今年3月末時点では1割前後とみられる。これは過去最低の水準だが、東証などは「依然として高い」と指摘している。

大和住銀投信投資顧問の蔵本祐嗣氏は、持ち合い解消を強く求める表現が盛り込まれたことに対し「企業価値の向上を促そうとする強い意志の表れだ」と評価する。

新指針は取締役会の機能強化へ多様性の確保を求めている。「ジェンダーや国際性の面を含む」との表現を盛り込み、女性や外国人などの積極登用を促している。アムンディ・ジャパンの岩永泰典氏は「グローバル化が進む中で、取締役会に外部の目が加わり様々な意見が出ることは大切だ」と指摘する。

東京商工リサーチによると、17年3月時点で日本の主な上場企業の女性役員の比率は3%台にとどまっており、2~4割程度の欧米に比べて著しく低い。日立製作所日産自動車といった大企業では登用が進んでいるが、規模の小さい企業や地方企業ではなかなか進まないのが現状だ。女性や外国人の候補者自体が少なく、有望な人材の採用を巡り企業同士で争奪戦となる可能性もある。

最高経営責任者(CEO)の選任や解任は客観的で透明性のある手続きの確立を要望する。トップ交代は株主の関心が高いが、外部からは理由が分かりにくい。トップ人事にまで踏み込んで透明性の確保を求める。

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