2018年6月23日(土)

イタリア新政権誕生、スペインも交代へ 政治基盤弱く

ヨーロッパ
2018/6/1 19:00 (2018/6/1 23:21更新)
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 【パリ=白石透冴、ジュネーブ=細川倫太郎】スペイン下院は1日、ラホイ首相の不信任決議案を野党などの賛成多数で可決した。同日中にも最大野党、社会労働党のサンチェス党首が新首相に就任する。イタリアでも1日、ポピュリズム(大衆迎合主義)政党が推薦した大学教授のジュセッペ・コンテ氏が新首相に就いた。両氏の政権基盤はいずれも脆弱で、南欧二大国の内政は不安定な状況が続く可能性がある。

イタリアの新首相に指名されたコンテ氏(5月31日、ローマ)=ロイター

スペインの新首相に就任予定のサンチェス氏(1日、マドリード)=ロイター

 スペイン議会では憲法の規定により不信任案の可決と同時に新首相も選出しており、サンチェス氏は1日中にも組閣に着手する。

 ラホイ氏は与党内の汚職疑惑で退任に追い込まれたが、緊縮策で財政を立て直した実績は市場で評価されていた。サンチェス氏は社会保障の拡充や緊縮路線の見直しを主張してきたが、当面は金融市場の混乱を避けるためラホイ氏の経済政策を踏襲する方針だ。

 ただ、サンチェス氏が率いる社会労働党の現有勢力は下院(350議席)の4分の1以下の84議席にとどまっており、新政権は急進左派政党も含めた5党以上の連立となる見通し。組閣や政策面を巡る連立内の調整は難航する恐れがある。大幅な歳出拡大を求める与党議員の造反で政権運営が行き詰まった場合、サンチェス氏は議会の解散・総選挙に踏み切る可能性もある。

 スペインの議会は多数の政党が乱立しており、15年と16年の総選挙ではどの政党も下院で過半数を取れなかった。総選挙を経ても安定政権の発足につながるかは不透明だ。

 イタリアでは1日、大統領が首相に任命したコンテ氏の新政権が発足した。同氏を次期首相に推したポピュリズム政党「五つ星運動」と「同盟」は合わせて議会の過半数の議席を占めており、3カ月続いた政治の混乱はひとまず収束する。

 ただ、民法の専門家として知られるコンテ氏には政治家の経験もなく、支持基盤は脆弱だ。経済・財務相に就くジョバンニ・トリア氏も研究者出身で無名。両党がばらまき施策を掲げるなか、財政規律の維持を求める欧州連合(EU)との交渉の矢面にたつ新内閣が指導力を発揮できるか危惧する見方は多い。

 現地の調査機関によると五つ星が主張する最低所得保障の導入には170億ユーロ(約2兆2千億円)、同盟が求める減税には500億ユーロがそれぞれ必要となる。両党の全ての公約の実現には1千億ユーロがかかるとの試算もあり、市場関係者の間ではイタリアの財政悪化への懸念が広がっている。

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