2018年6月24日(日)

名大、がん転移促すたんぱく質特定、胃から肝臓、ゲノム編集で抑制

科学&新技術
2018/6/2 2:00
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 名古屋大学の神田光郎助教らは、胃がんが肝臓へ転移する際に働くたんぱく質を特定した。遺伝子を効率よく改変する「ゲノム編集」という技術でこのたんぱく質を取り除くと、転移や増殖が抑えられた。がんの転移を防ぐ治療薬の開発につながると期待される。

 胃がんが肝臓などに転移するルートは、主に3つある。神田助教によると、このうち血液の流れに乗ってがん細胞が移る「血行性転移」が原因の患者が最近増えているという。もともと転移原因の半分を占めるが、ほかのルートに比べて詳しい仕組みが分かっていなかった。

 研究チームは、血液を通じて胃がんが肝臓に転移した患者4人の細胞を採り、約5万8千種類の分子を分析。「シナプトタグミン7」というたんぱく質が異常に増えていることを突き止めた。

 ゲノム編集技術で、シナプトタグミン7に関わる遺伝子を切り取ったがん細胞を作り、マウスの皮膚の下に移植したところ、通常のマウスに比べて転移したがん細胞の大きさが10分の1程度にとどまった。胃から肝臓につながる血管に移植したマウスの場合には、5匹中2匹でがんができていなかった。残りの3匹はがんができたが、がん細胞の量は通常のマウスに比べて100分の1だった。

 ゲノム編集した細胞は増殖したり転移したりする能力が落ちていた。神田助教は「転移だけでなく、胃がんそのものの増殖も抑えられる可能性がある」と話す。研究チームは今後、シナプトタグミン7ができないようにする薬の候補物質の開発を試みるほか、大腸がんや乳がんなど転移しやすいほかのがんでも同じ手法が使えるかも検討する。

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