2018年8月14日(火)

ドンキ、10年ぶりのコンビニ ファミマで「個店主義」

小売り・外食
2018/6/1 15:16
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 ドンキホーテホールディングス(HD)が10年ぶりにコンビニエンスストアの舞台へ戻ってきた。ドンキ独自の品ぞろえや陳列手法を導入したファミリーマートとの共同実験店が1日開店。「ドンキ流」に転換したユニーの総合スーパー(GMS)は復活の兆しを見せるが、その肝は各店で独自色を競う「個店主義」だ。対極のコンビニでも相乗効果を引き出せるか。

 所狭しと並ぶ商品と目を引く派手なPOP――。ディスカウントストア「ドン・キホーテ」流の演出が東京都内のファミマ2店舗で始まった。提携するユニー・ファミリーマートホールディングスと組み既存店を改装。扱う約5千点の6割弱をドンキの日用雑貨や飲料と食料に替えた。

 1日に開店した店舗の一つ、ファミリーマート立川南通り店(東京都立川市)の看板には「Produced by ドン・キホーテ」の文字が浮かぶ。イートインコーナーだった場所に酒類をずらりと陳列し、雑誌棚もなくして菓子類を増やした。訪れた60代女性は「ドンキらしい安い商品が豊富」と笑顔を見せる。

 商品棚は大人が隠れる高さ。コンビニでは珍しく雑貨を屋外にも置いた。29日には東京・世田谷でも1店を開く。取り組みを主導するドンキHDの竹内三善執行役員は「ファミマの運営ノウハウとどんな化学反応を起こせるか」と期待する。

イートインがあったスペースには酒類を陳列

イートインがあったスペースには酒類を陳列

 ただドンキには苦い経験がある。2005年、出来たて弁当や総菜を出すコンビニの構想を固めた。ノウハウを得るためオリジン東秀の買収を画策し、06年に敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛ける。だがオリジンと友好関係にあったイオンとの買収合戦に発展し、同社のTOBに応じる形で買収を断念した。

 その後「次世代型」と銘打ち、キッチン付きの「パワーコンビニ情熱空間」を6店展開する。しかし24時間手作りする手法で運営コストが膨らみ、08年までに撤退。07年GMSの長崎屋買収を機に大型店へ経営資源を集中させた。

 それから10年。ドンキHDは百貨店やGMSの苦戦とは対照的に成長を続けた。18年6月期には創業以来29期連続の増収増益となる売上高9350億円、営業利益510億円を見込む。1兆円弱の時価総額はローソン三越伊勢丹ホールディングスを上回る。

 18年に運営へ加わったユニーのGMS6店舗は3~4月で売上高が前年同期比2.2倍、客数も1.9倍に伸びた。加工食品や日用雑貨の割合を高めて「得意な商品群でけん引した」(高橋光夫専務)。

円筒形の陳列棚を導入した

円筒形の陳列棚を導入した

 ドンキは仕入れや値付けの権限を各店に委譲する個店主義を貫く。立地に応じた製品群と価格にし、入り口の特価品や迷路のような売り場で衝動買いを促す戦略をとる。

 GMSと同様、客足が遠のくコンビニで相乗効果を狙う。コンビニ大手7社の既存店客数は4月まで26カ月連続で前年を割った。ファミマは非食品が売り上げの6割強を占めるドンキの手法を学び、集客力を高めて主力の日配品食品の購買につなげたい考えだ。

 実験は3店で始め、収益動向を見極めつつ1万7千超あるファミマ他店舗への展開も検討する。ただコンビニは商品や売り場のシステム化で急成長した業態。全国展開には調達や物流の仕組み作りも欠かせない。

 またドンキの店舗には通常4万~10万品目が並ぶ。コンビニでは迷路のような商品配置ができず、少ない点数でどこまで独自色を出せるかが課題となる。ツイッターでは「だったらファミマでなくドンキに行く」との声も聞かれた。

 「非食品で稼ぐドンキはポストGMSの唯一無二の存在」とドンキHDの大原孝治社長は豪語する。コンビニ撤退から10年、大型店では揺るぎない自信をつけた。ドンキ流コンビニはファミマにとっての集客実験であると同時に、ドンキの再挑戦という意味も持つ。

(池下祐磨、今井拓也)

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