2018年12月19日(水)

がんゲノムの情報管理拠点 国立がん研究センターが開設
事前に遺伝子変異を解析

2018/6/1 12:43
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国立がん研究センターは1日、がん患者の遺伝情報から最適な治療薬を選ぶ「がんゲノム」を進めるため、全国から情報を集めて管理する体制を整えたと発表した。全国の100カ所以上にある病院から患者の遺伝子変異のデータなどを集めて解析し、効く薬を特定する。がん患者に治療の可能性を示すとともに、将来の新たな治療法の開発にもつなげる。

1日、国立がん研究センター(東京・中央)に開所したがんゲノム情報管理センターの看板を掛ける中釜斉理事長(中)と間野博行・がんゲノム情報管理センター長(右)

これまでの薬物療法では臓器ごとに抗がん剤を選ぶのが基本だった。ただ、同じ種類のがんでも原因遺伝子が違うと、薬が効くかどうかや副作用の強さに違いが出る。事前に遺伝子変異を調べれば、患者ごとに副作用を抑えながら効果が期待できる薬を探し出せる。

国立がん研究センターは1日に「がんゲノム情報管理センター」を開設した。全国のがん患者の遺伝子変異や治療効果などのデータを患者に説明した上で集約する。同センター中央病院や東京大学病院といった全国11カ所の「がんゲノム医療中核拠点病院」や、各拠点病院と連携する100病院から情報を集める。

当初は数万人分のデータを集め、近い将来に100万人超に増やす計画だ。各拠点病院などはデータの解析結果をもとに、個人ごとに効きやすい最適な治療薬を提供できる。希少がんの新しい治療法の開発につながる可能性もある。

どういった遺伝子変異を持つ患者が全国のどこにいるかが分かるようになるため、製薬企業などが創薬に必要な臨床試験(治験)に参加する患者を集めるのにも役立つ。

がんの遺伝子変異の検査はこれまで一部病院の自由診療などで行われていただけで、検査に100万円程度かかっていた。国立がん研究センター中央病院では今年4月、治療法の保険適用を目指し、一部で保険が使える先進医療を始めた。患者負担額は約50万円。2019年度にも各中核病院などで国の保険を使った治療が始まる見通しだ。

記者会見した間野博行・がんゲノム情報管理センター長は「現在は治療法が無い患者の遺伝情報を調べて、開発中の薬を試すなどして治療の選択肢を増やしたい。日本のがんゲノム医療の質を高めたい」と話した。

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