2019年6月20日(木)

自動運転、陣営作り加速 GM、ソフトバンクと提携

2018/6/1 11:59
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【シリコンバレー=白石武志】自動運転をめぐる陣営作りの動きが加速している。米ゼネラル・モーターズ(GM)がライドシェア分野で存在感を高めるソフトバンクと組むほか、米グーグルも自動車メーカーとの提携を拡大する。公道試験などで開発競争をけん引してきたトップランナーたちの主戦場は、実用化を見据えた車両の量産やサービス開発に移りつつある。

GMはハンドルのない自動運転車を2019年に実用化する計画を掲げる

「ソフトバンクをチームに迎えることは、我々にとってとてつもないアドバンテージになる」。31日に電話会見したGMのダン・アマン社長の声は弾んでいた。

今回の両社の提携の柱は、GM傘下の自動運転技術開発会社、GMクルーズホールディングスが「10兆円ファンド」として知られるソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)から22億5000万ドル(約2400億円)の出資を受けるというもの。同ファンドの出資比率は最終的に19.6%になる予定だ。

GMクルーズは調達した資金を使って2019年にも米国の複数の都市で自動運転車を使ったライドシェアサービスを始める計画だが、提携効果はそれだけにとどまらない。IT分野におけるソフトバンクの知名度を生かすことで「世界最高の才能をチームにひき付けられる」(アマン社長)と見込んでいる。

両社は7年間は出資を維持することでも合意しており、将来はGMクルーズ株をGM本体の株式に転換する可能性もあるという。SVFが出資する米ウーバーテクノロジーズや中国・滴滴出行など世界のライドシェア大手への車両供給も見込めるとの期待から、31日の米株式市場でGM株は前日終値比13%上昇した。

GMが自動運転技術の開発に本腰を入れ始めたのは2年前。GMクルーズの母体となる自動運転ソフト開発の米クルーズ・オートメーションを約10億ドルで買収してからだ。積極的な人材投資によって当初40人だった社員数は800人を超え、自動運転分野でトップレベルの技術力を持つとみなされるまでになった。

アリゾナ州フェニックスなど郊外で自動運転車の公道実験を重ねる米グーグル系のウェイモとは対照的に、GMは交通量が多くより複雑な操作が求められるサンフランシスコなどでのデータ収集に軸足を置いている。大都市の渋滞緩和などの需要を見据えた開発姿勢が、複数の出資先候補の資産査定を進めていたSVFがGMを選ぶ決め手となったもようだ。

自動運転技術の商用化を巡っては、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)も31日にウェイモとの提携拡大を発表した。これまでに約600台の実験用車両を供給してきた実績をばねに、ウェイモが18年後半にアリゾナ州で始める自動運転車を使った一般向けのライドシェアサービスに新たに6万2000台の車両を供給することなどで合意した。

3月にアリゾナ州で起きた死亡事故の影響で自動運転車の公道試験を控えているウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は30日、カリフォルニア州で開かれたイベントでウェイモと協業の可能性について言及した。数カ月前まで自動運転技術が盗用されたと主張するウェイモと裁判で争っていたウーバーだが、実用化の時期が迫ったことでライバルに歩み寄る姿勢を見せ始めている。

GMやウェイモに共通するのは、期限を区切って自動運転技術の商用化計画を表明し、運輸当局などに規制緩和を働きかけていく姿勢だ。早ければ1~2年内に米国の複数の都市で運転手のいない「ロボタクシー」サービスの普及が始まる可能性がある。自動運転技術に慎重とされる日本車メーカーにも決断を迫る動きとなりそうだ。

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