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「オールスター」のサッカー日本に勝算は見えぬ
サッカージャーナリスト 大住良之

(2/2ページ)
2018/6/2 6:30
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しかし守備は不安だらけで、攻撃は形にならなかった。

守備では、やってはいけない自陣ゴール前でのファウル、まずい壁のつくり方で、FKから簡単に失点した。ワールドカップで8分に失点してしまったら、ゲームプランも何もなくなる。

右サイドでプレーしたMF原口元気は、攻撃面では動き出しのタイミングがよく、相手DFラインの裏をつく動きもしていた。だが、守備面では開始わずか10秒であっさりと裏を取られるなど、ポジショニングができていなかった。3バックの中央でプレーした長谷部もスピードのなさを露呈し、それが2失点目のPKの原因となった。

今後、チームの雰囲気が最も大事になってくるが…

今後、チームの雰囲気が最も大事になってくるが…

「得点が生まれなかったことがいちばん悔しい」と、西野監督は31日の選手発表会見でガーナ戦を振り返った。記録された日本のシュート数は14本。しかし、しっかりとしたゴールチャンスは数えるほどだった。「オールスター」の寄せ集めだから、最後の突破のところでイメージの共有やあうんの呼吸といったものがなく、スピードの変化(急激なスピードアップ)ができなかった。ペナルティーエリア内でシュートチャンスができても、相手DFにしっかりと体を寄せられていた。

初戦のコロンビア戦まで3週間たらず。攻守両面の課題をクリアする時間が十分あるとはいえない。攻撃面でコンビネーションを高めるには、絶望的なまでに時間が足りない。

チームマネジメントに大きな不安

「オールスター」であることの問題とともに、大きな不安はチームマネジメントだ。

日本代表はガーナ戦の翌朝にいったん解散し、6月2日に成田から欧州に向け飛び立つ。ここからはオーストリア合宿、スイス、パラグアイとの親善試合を経てワールドカップ開幕の前日、13日にロシアに移動し、カザンの合宿所に入る。19日にコロンビア戦(サランスク)、24日にセネガル戦(エカテリンブルク)、そして28日にポーランド戦(ボルゴグラード)。少なくとも1カ月間の合宿生活となる。

そうしたなかで最も大事なのはチームの雰囲気だ。疲労がたまっているとき、負けたとき、試合に出られないことが続くとき……。選手たちにはストレスがたまる。そうした苦しいときにチーム全員が沈み込んでしまったら、そこから反発する力は生まれない。特に試合に出ていない選手がつくり出す雰囲気は、とても大事だ。

2002年大会では中山雅史、秋田豊両氏が全く試合に出られないなか、どんなときにもチームを明るく、前向きに保った。10年大会では川口能活が重要な働きをした。

全員がスターの「オールスター」チームでは、誰がそうした役割をこなすのだろうか。このあたりの配慮が、西野監督にどれだけあっただろうか。

「第3GK川口能活」。10年ワールドカップのメンバー発表の席上、岡田武史監督は故意にそう表現した。この当時、日本代表の見通しは今回と同様、決して明るくなかったが、岡田監督のこの言葉を聞いて、私は一挙に岡田監督が選んだ23人の「見え方」が変わったように感じた。そして、見通しが立たないなかでも、何か起こるのではないかと期待が生まれるのを感じた。

残念ながら今回の「オールスター」の発表には、そうした期待すら持てなかった。すべてがうまく運んで勝つことを、私も望んでいる。しかし現時点では、そんなふうに楽観的にはなれない。「勝算」どころか、その期待も全く見えてこない。

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