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米鉄鋼関税発動、対抗措置相次ぐ 貿易戦争の懸念

EU、きょうWTO提訴へ カナダ・メキシコも報復関税表明

(更新)

【ブリュッセル=森本学、メキシコシティ=丸山修一】米国が鉄鋼・アルミニウムの輸入制限の発動を決めたのを受け、欧州連合(EU)とカナダ、メキシコが一斉に対抗措置に動き出した。EUは1日、世界貿易機関(WTO)へ提訴し、20日にも米国に約28億ユーロ(約3500億円)の報復関税を課す方針だ。メキシコとカナダも報復関税を表明。米国は自動車の輸入関税引き上げも検討中で、各国の報復の応酬が「貿易戦争」に発展する懸念が強まっている。

トランプ米政権は1日から、EUとカナダ、メキシコから輸入する鉄鋼とアルミニウムにそれぞれ25%、10%の追加関税を発動した。通商交渉で圧力をかけるため適用を一時的に猶予してきたが、譲歩を引き出せないと判断して猶予を打ち切った。

「今後数時間のうちに対抗措置を表明する」。EUのユンケル欧州委員長は米国が発動を発表すると即座に反応をみせた。EUはまず1日にWTOへ提訴する方針だ。

米国は輸入制限の発動は安全保障上の脅威に対応するためと主張する。安保を理由とした輸入制限はWTOルールでも認められている。しかしユンケル氏は「単なる保護主義だ」と批判。明らかなWTOルール違反だとみている。米輸入制限の影響を受ける日本などとの連携も目指す。

さらに米国からの輸入品に報復関税を課す手続きも進める。WTOルールは、加盟国が産業を保護する目的で高関税を導入した場合の対抗措置として、効果を相殺する規模での追加関税の適用を認めている。

EUはすでに5月18日にWTOへ報復関税の対象品目リストを通告済み。まず6月20日にも鉄鋼品のほか、ハーレー・ダビッドソンのオートバイなど米国を象徴する28億ユーロ規模の輸入品に高関税を課すことを目指す。

さらにWTOが米輸入制限をルール違反だと認定した後に実施できる約36億ユーロの品目リストも準備済み。最終的な報復関税の規模を米輸入制限によるEUの損失(64億ユーロ)と同規模にする。1日に発動への正式手続きに入る。

カナダのトルドー首相も米の輸入制限発動は「全く受け入れられない」と反発。対抗措置として、米国からの輸入品に対して最大166億カナダドル(約1兆3900億円)の報復関税を課すと表明した。

メキシコ政府も31日、即座に米国の決定を「不適切で正当化できるものではない」と批判する声明を発表。鉄鋼や農産物などに対して対抗措置を実施すると発表した。各種鉄鋼製品のほか、豚肉やリンゴ、ブドウ、ブルーベリー、チーズなどに報復関税を課す。具体的な税率は明らかにしていないが、米輸入制限に伴う同国の損失と同規模とする方針だ。

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