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メキシコの対抗措置で米に打撃 NAFTAにも暗雲

【メキシコシティ=丸山修一】米国が鉄鋼・アルミに対する追加関税を決め、メキシコも対抗措置を発表した。メキシコの鉄鋼業界は最大の輸出先を失う可能性があるほか、製造業などにも影響が出そうだ。一方、報復措置で米国も打撃は避けられない。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉への悪影響も懸念されるなど双方にとって悪材料ばかりだ。

「米国の決定は非常に遺憾で決して容認できない」。メキシコ政府は米国の決定発表から間髪入れずに声明を発表した。声明では対抗措置として鉄鋼製品だけでなく、豚肉やリンゴ、チーズなどの農畜産品なども対象に加え「メキシコへの影響額と同じだけ、米国が措置を続ける限り」対抗措置をやめないとして断固たる姿勢を示した。

米国の措置でメキシコの鉄鋼業界は直接的な打撃は避けられない。ロイター通信は今回の米国の措置で鉄鋼・アルミの合計で約40億ドル(約4300億円)分の輸出に影響が出る恐れがあるとしている。メキシコの鉄鋼輸出の大半は米国向けだ。関税による価格競争力の低下は避けられず、生産が落ち込めば関連産業を含めて5万人ともいわれる雇用にも影響しかねない。

米国から輸入した鉄鋼製品を使っている製造業や建設業などにとっても影響が出そうだ。他国からの製品調達で代替が利かない場合は、対抗措置で米国から輸入する鉄鋼価格も上昇するため、コストアップを強いられることになる。経営にとっては大きな痛手だ。

一方でメキシコの対抗措置による米国への影響も出てくる。実は米国にとってメキシコは鉄鋼輸出の約4割を占める重要顧客だ。グアハルド経済相が「販売量より購入量が多いのに関税をかけるとはナンセンスだ」と話すように、鉄鋼だけをみれば米国はメキシコに対して貿易黒字を累積している。メキシコが対抗措置をとれば価格競争力の弱い米国鉄鋼業界への打撃も避けられない。

影響は農畜産品にも広がる。トランプ大統領はNAFTAで米国の貿易赤字が広がったというが、農業分野に関してはメキシコに対して輸出超が続いている。今回の豚肉やリンゴ、ブルーベリー、チーズなどへの関税措置は鉄鋼同様に価格競争力を失わせ、メキシコへの輸出が減るのは避けられない。農業関係団体の反発も予想される。

NAFTA再交渉にも影を落とす。グアハルド氏は「7月のメキシコ大統領選前での合意は難しくなった」と話した。脅しともいえる措置の下で妥協を示せば国内世論の突き上げは必至なだけに、メキシコ政府は一歩も引けない状況だ。

ビデガライ外相は「米国を一切、恐れてない。(NAFTAを含めて)今後も米国と交渉を続けていく」と話した。今回の決定は両国の経済、そして関係にとってプラスの材料は何も見つからない。

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