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志望動機に「愛」はいらない(面接道場)

就活生の皆さん、こんにちは。人材研究所(東京・港)の曽和利光です。いよいよ6月に入り、最終面接を受ける人も多いと思います。内定を得るためのカギは、いったい何でしょうか。今回、面接道場に集まってくれた就活生3人には、実際に志望している企業の面接を想定し、実践的な模擬面接に挑んでもらいましょう。

「志望度が高い人だけを採る会社は優秀な人を採れない」と説く
今回の参加者
長尾隆希さん
(明治大学商学部4年)
武田真由子さん
(早稲田大学国際教養学部4年)
倉田航さん
(横浜国立大学大学院2年)

曽和さん:では始めに長尾さん。私が第1志望の大手機械メーカーの面接官だと思って志望動機を話してください。

長尾さん:はい。御社を志望したのは工場の作業をロボットなどで自動化するファクトリーオートメーション(FA)が強いからです。

大学3年生のときオーストラリアで1カ月ほど生活する機会がありましたが、その間に3回停電を経験しました。日本で停電に遭うことはなかなかありません。電気を制御する日本の技術はすごいんだなと感じ、もっと世界に広めたいと思いました。御社は医療機器のイメージが強く、FA分野にはまだまだポテンシャルがあると思っていますので、私の力で広めたいと思っています。

模擬面接に参加しませんか

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https://esf.nikkei.co.jp/sowa_mensetsu//

曽和さん:はい、ありがとうございます。就活生の皆さんは志望動機というと「入社したいのは御社だけですよ」ということを伝えなくてはいけないと思いがちです。いかにその会社が好きか、「愛」を語ろうとしますが、それは果たして正しいでしょうか。

答えはNOです。そもそも志望度が高い人だけを採る会社では、優秀な人は採れません。

原理を説明しましょう。優秀な方は引く手あまた。いろいろな会社から「来てほしい」と言われますよね。そうするとその人にとっては1社当たりの志望度はおのずと下がります。つまり必死にがっついてくる人は「優秀じゃないんじゃないか」と面接官は思うわけです。

何によって「がんばるのか」を伝える

面接は志望度の高さを競う場所ではありません。面接官にとっては「ウチの会社の仕事をうまくやってくれる人」を見極める場。それを証明してもらうために「何によってがんばる人なのか」を知りたいのが面接官の本音なんですね。

がんばれるリソースとは、仕事の面白さだったり、社会への影響力だったり、はたまた給与水準だったり、人それぞれ違うはずです。皆さんはそこを明確に伝えて「私はそれによって燃える人間なんです。御社に入ったらパフォーマンスを上げることができます」とアピールすればよいのです。

長尾さんの場合、第1志望の会社が好きなのは十分わかりました。そうではなく「ウチの会社に貢献してくれるのか」と聞かれたらどう答えますか。

長尾さん:英語でディスカッションをする機会がありましたが、そこでは共通認識を持つことが大切だと感じました。FAの営業だと、見ず知らずの工場の方に営業をかけるという仕事があることをOB訪問を通じて知りました。バックグラウンドが全く違う人と共通認識を持って話をするという学生時代の経験が生かせると思いました。

曽和さん:良くなりました。それを聞くと納得感がありますね。では次は武田さん。大手旅行会社が第1志望でしたね。

武田さん:就職活動の軸として、異国の地で働く人や生活する人に貢献したいという思いがあります。私の父は転勤や出張が多く、世界や日本各地を飛び回って仕事している様子を見て育ちました。そこで感じたのが異国の地で仕事をするのは大変だということです。

グローバル化が進んでいて、ビジネストラベルの需要が高まっています。そうした人たちの煩雑な業務を減らして本来取り組むべき仕事に集中していただきたいと思っています。業界最大手などの知名度を生かし、より多くのお客様のビジネスに貢献できると思い御社を志望しました。

曽和さん:「最大手」ということ以外に何かありませんか。

武田さん:取扱高がトップクラスで……。

曽和さん:トップクラスだと何があるんでしょうか。

武田さん:トップクラスということは多くのお客様に信頼されている証しだと思います。他社だと親会社の受注がメインで他社の仕事はあまり扱わず業務範囲が限られています。私はいろいろな企業のことを知りたいという好奇心が強いので、取扱高が高い御社で仕事すればより多くの企業に携われると思いました。

志望動機の理由は、理屈ではなく自分の「根っこ」を話そう

曽和さん:良くなりました。単に「信頼されているからです」で終わると、面接官はもう一回聞き直したくなります。最大手だということは、いろいろな企業に携われるので、武田さん個人にとってとても面白いことだ、という論理構成はいい伝え方だと思います。

武田さんが良かったところをもう一つ挙げると、身近な親の話を交えて、過去の自身の経験をメインに話していたところです。他の就活生は「グローバル化が進んでいて、ビジネストラベルの需要が高まっている」と理屈だけで通すケースが多いです。

おそらく、短時間で「志望理由」や「自分に合っている部門」という問いに対する答えを無理やりひねり出し、それを話してしまっているのだと思います。私はそれを「ねつ造されたウィル(意志)」と呼んでいます。

面接官はそれを聞かされても「一般論ではそうだけど、君には関係ないよね」と思ってしまいます。そうではなく、ライフヒストリーに基づいて、自分の根っこにあるものを話したほうが説得力があっていいですね。さて最後は倉田さん。総合商社志望でしたね。志望動機を言ってみてください。

「会社」ではなく「自分」を説明しよう

倉田さん:私は御社で資源ではなく、機械技術の新規ビジネスに携わりたいと思い志望しました。20人近く御社の社員とお会いしましたが、どの方も私がやってみたいことを話したとき、親身になって聞いてくれて、とてもすてきだなと思いました。

新しい技術をどうやったらビジネスにできるかと深く考える方もいました。御社の中期経営計画にも非資源に力を入れると明記されており、私のやりたいことと合致しているので志望しました。

曽和さん:なるほど。ところで倉田さんは、理系の専攻ですが、なぜ研究者や開発者じゃなくて商社なんでしょうか。

倉田さん:私は大学院で研究していましたが、部活で大会に出たり、海外ボランティアに参加したりしたり、様々な活動をしてきました。こうした経験からジェネラリストとして様々な経験や能力を「掛け合わせる力」が私の価値であり魅力だと思いました。それを最も生かせるのが商社だと思いました。

もう一つはモチベーションの部分です。数年間研究をやっていてきましたが、これを30年以上かけて職業としてやれないと思ったのです。研究職だとずっとパソコンに向き合う日々が多いです。私はいろいろな人と話をするのが好きなので、研究職だとモチベーションがあがらないなと思いました。

曽和さん:「自分はこういう力を持っていて生かせる」という観点がはっきり言えており、いいと思います。

一つ注意しておいてほしいことは、志望動機を説明する際に、会社の事業説明に終始しないようにすることです。例えば中期経営計画について、倉田さんのように軽く触れる分にはいいのですが、つい熱が入って発言時間のほとんどを中期経営計画そのものの説明をしてしまうような人が結構多いです。

面接官も自社の説明をされても「そりゃそうだけど……」と思うだけ。時間がもったいないです。何度も繰り返し言っていることですが、面接は自分の人となりを言う場だということを忘れないでくださいね。

曽和利光(そわ・としみつ)1971年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルート人事部ゼネラルマネージャー、ライフネット生命総務部長などを経て、2011年、主に新卒採用を対象にしたコンサルタント事業の人材研究所を設立。著書に「就活『後ろ倒し』の衝撃」(東洋経済新報社)など。

(構成 鈴木洋介)

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