2018年11月14日(水)

欧州データ規制に焦るフェイスブック、余裕の米銀行

CBインサイツ
米巨大ITへの逆風
コラム(テクノロジー)
(2/2ページ)
2018/6/4 2:00
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一方、グーグルは18年1~3月期の決算発表でGDPRについて初めて触れた。スンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)はフェイスブックとは対照的に、GDPRの施行までにさらなる対策が必要だと認めた。実際、グーグルは傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」のプライバシーポリシーを更新している。

グーグルのGDPRに伴うプライバシーポリシー更新

グーグルのGDPRに伴うプライバシーポリシー更新

GDPRは対策費がかかる上に、プラットフォーマーの広告収入も脅かす。各社はこれまで、個人データを使って消費者を絞り込んできたからだ。消費者から情報共有について同意を得られなければ、最大の強みである「カスタマイズされた広告」を提供しにくくなる。

広告収入はプラットフォーマーにとって極めて重要だ。フェイスブックの18年1~3月期の売上高の98.5%は広告事業からもたらされた。グーグルの親会社アルファベットは同期の売上高311億ドルのうち、266億ドル(86%)を広告収入が占めたことを明らかにした。

この点を踏まえると、各社首脳が決算発表でGDPR対策について触れるのは、収益見通しへの懸念を和らげる戦略なのだろう。

フェイスブックのデビッド・ウェーナー最高財務責任者(CFO)は「こうした変更が広告収入に大きな影響をもたらすとは思わないが、一定の影響があるのは確かだ」と述べるにとどめた。

今後の決算発表では実際に広告収入が落ち込んでいるかどうか、注視する必要がありそうだ。

IT企業とは対照的に、英HSBCやスペイン・サンタンデール銀行、米JPモルガン、米ゴールドマン・サックスなどの欧米の大手金融機関は決算発表でGDPRには一度も触れていない。

一つの理由は、銀行は既に口座情報などの非公開情報や自宅の住所といった個人情報など、もっとデリケートなデータを対象にした多くのデータ保護規制に従っているからだ。

銀行や公益事業はGDPRを過度に不安視していない(13年4~6月期から18年1~3月期の決算発表での金融関連規制への言及回数)

銀行や公益事業はGDPRを過度に不安視していない(13年4~6月期から18年1~3月期の決算発表での金融関連規制への言及回数)

GDPRは銀行が対応を迫られているような多くの規制の一つにすぎない。もっと言えば、他の多くの規制ほど劇的な影響も及ぼさないのだろう。

例えば、EU決済サービス指令(PSD2)は銀行に対してAPIを通じて、顧客データへのアクセスを第三者に提供するよう義務付けている。銀行による顧客データ独占の解消をめざす狙いだ。米クレジット大手のマスターカードは13年4~6月期以降の決算発表で、PSD2ついてはに29回も言及している。

いずれにせよ、GDPRで、EU市民の個人データを保有する全ての企業に影響が及ぶ。GDPRは適用対象が広く厳格なため、きちんと守られているかを監視するのは容易ではない。しかも、多くの企業は自らが示唆しているほど対応できていない可能性がある。

規制当局はどの企業に最初にGDPRを適用するのか。IT大手、金融大手、あるいは未上場のスタートアップ企業だろうか。規制が順守されていることをどうやって監視するのか。さらに、GDPRが成果を上げれば、他国の規制当局も同様の規制導入に乗り出し、状況がさらに複雑になる可能性がある。

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