2018年9月23日(日)

欧州データ規制に焦るフェイスブック、余裕の米銀行

CBインサイツ
コラム(テクノロジー)
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2018/6/4 2:00
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CBINSIGHTS

 4~5月に米企業が相次いで発表した決算。発表会見の場で話題をさらったのが欧州の一般データ保護規則(GDPR)だ。CBインサイツが持つデータベースから関心の高さが浮き彫りになった。ただし、業種によってとらえ方は様々。フェイスブックなど「プラットフォーマー」が警戒感を強める一方で、膨大な個人情報を抱えるはずの銀行は余裕を見せる。その理由はどこにあるのか。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しました。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載します。

 米フェイスブックの情報流用問題などを受け、インターネット上のデータのプライバシーに対する懸念は転換点を迎えている。消費者は自分のデータが企業に乱用されていることに気付き始め、各国の規制当局はデータ保護の強化に動いている。

 その急先鋒(せんぽう)は欧州連合(EU)が5月25日に施行したGDPRだ。GDPRはこれまでで最も進んだデジタルプライバシー規制で、個人データの所有権を消費者に取り戻すのが狙いだ。

 グラフが示す通り、GDPRは各社の決算発表で、最近の主な規制の中で最も多く話題に上っている。

GDPRはその施行を控えて決算発表で最も話題に(2013年4~6月期から18年1~3月期の決算発表での金融関連規制への言及回数)

GDPRはその施行を控えて決算発表で最も話題に(2013年4~6月期から18年1~3月期の決算発表での金融関連規制への言及回数)

 一つの理由は、フェイスブックや米グーグルなど個人データから収益を得ているIT(情報技術)大手の業績が脅かされる可能性があるからだ。IPアドレスなど個人を特定できる情報を保有する企業が違反すると、巨額の制裁金が科されるからだ。

 GDPRは広範な対象に影響が及ぶため、2018年1~3月期の決算発表では、各社経営幹部による言及回数が急増した。

 GDPRに違反した企業は総売上高の4%または2000万ユーロの高額な方を制裁金として科される。

 決算発表で最も多く言及しているのは、データセキュリティーソフトウエアの米Varonis Systems(バロニスシステムズ)だ。同社のデータ分類・保護ソフトウエアはGDPRの順守に使われるため、増収が見込まれる。電子メールをウイルスなどから守るクラウドサービスを提供する米Mimecast(マイムキャスト)もGDPRに度々言及している。GDPRの施行により、同社の製品への需要も増える見通しだ。この2社はGDPRの恩恵を受ける側なので発言が増えるのも当然だろう。

決算発表でGDPRについて最も多く言及した企業上位5社

決算発表でGDPRについて最も多く言及した企業上位5社

 フェイスブックやグーグルなど個人データの利用で利益を上げている「プラットフォーマー」はどうか。幹部がGDPRについて積極的に発言することで、対応が整っていると投資家にアピールしようとしているようだ。

 フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は個人情報流出が問題化する直前の17年10~12月の決算発表で、GDPRへの対策は万全だと強調していた。ユーザーはフェイスブックへのデータ提供に同意しているため、合法だとする考えだ。

 ところが、推定8700万人のユーザーの個人情報が不正流出した問題を受け、状況は一変した。直後の18年1~3月期の決算発表では、GDPRへの言及回数が急増した。幹部陣はアナリストからデータプライバシーの改善計画について問い詰められたのだ。

データの不正流出事件を受け、フェイスブックのGDPRへの言及回数が急増

データの不正流出事件を受け、フェイスブックのGDPRへの言及回数が急増

 データの不正流出事件以降、フェイスブックは慎重な姿勢に転じている。

 同社はデータ仲介業者から個人データを購入する慣習を取りやめたと表明した。さらに、GDPRの施行に合わせ、新ポリシーへの同意を全てのユーザーに適用する方針も示し、欧州では既に新たなポリシーを運用していることも明らかにした。

フェイスブック、GDPRに伴いプライバシーポリシーを更新

フェイスブック、GDPRに伴いプライバシーポリシーを更新

 サンドバーグ氏は18年1~3月期の決算発表でGDPRへの対応を改めて問われ、「GDPRに伴うポリシーの更新については、欧州で運用を始めたところだ。同じポリシーを世界全体で適用し、ユーザーが同じ手段を選択できる機会を提供する」と答えた。

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