2019年4月25日(木)

スペイン首相の不信任案、1日採決へ 早期の総選挙の可能性も浮上

2018/5/31 17:40
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【パリ=白石透冴】スペインのラホイ首相に対する不信任決議案が1日、下院で可決される公算が大きくなってきた。同氏が党首の与党、国民党(中道右派)が汚職がらみで非難を受け、最大野党が不信任案を提出していた。同国メディアによると、野党側は可決に必要な過半数の議席を集めたもようだ。可決が確実になれば、その前にラホイ氏が首相を辞任するとの観測もある。イタリアに続きスペインでも政治が流動化してきた。

スペインのラホイ首相=AP

不信任案が可決されればラホイ氏は首相から退く。同案には次の首相として最大野党、社会労働党(中道左派)のサンチェス党首の名前が書かれており、同氏が新たな首相に就く見通しだ。その場合、社会労働党は数カ月内に下院を解散し、総選挙に踏み切る考えを明らかにしている。

ロイター通信は31日、スペインのラジオ、テレビの報道などに基づき、野党勢力が下院の過半数(176議席)を上回る180議席の賛成を集めたと報じた。少数政党のバスク国民党が不信任案への賛成を決めた。

英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)も同日、スペインの野党勢力が過半数の賛成を得たと指摘した。ラホイ氏が不信任案の可決前に辞任する可能性も示した。

バスク国民党の広報担当者は31日、議会向けスピーチで不信任案への賛成を決めたと明言した。

不信任案の審議は31日から。ラホイ氏は30日の国会審議では「任務を全うする」と述べ、辞任を拒んでいた。

下院(350議席)の第2党で84議席を持つ社会労働党のサンチェス氏は25日、不信任案を提出した理由を「政治を正常に戻し、国民の要請に応える」と説明した。

同氏が引き合いに出したのは24日のスペインの裁判所の判決だ。裁判所は、国民党を巡る汚職事件で同党の元幹部ら29人に収賄や横領罪などで有罪判決を下した。関連して国民党も利益を得たと断定し、約24万ユーロ(約3千万円)以上を国に納めるよう命じた。ラホイ氏は関与を否定している。

この事件では不動産価格が高騰していた時期の1999~2005年、出納責任者を含む当時の国民党幹部らが賄賂を受け取り、特定の事業者に公共事業の入札で便宜をはかったとされていた。

ラホイ氏は2011年から首相を務め、下院の現勢力は16年6月の総選挙で決定。国民党は下院で134議席の少数与党で、法案ごとに第4党で中道右派の新興政党シウダダノス(32議席)などの閣外協力を得て政権を運営してきた。

不信任案について第3党のポデモス(急進左派、67議席)は賛成に回るとみられるが、社会労働党と合わせて151議席にすぎず、過半数に届かない。同案の成否を左右するのは、バスク国民党を含む、そのほかの少数政党が握っていた。

裁判所の判決が出た後に実施された現地の世論調査によると、シウダダノスが108議席に躍進して第1党、社会労働党は85議席で第2党にとどまる。国民党は63議席で第4党に沈むと予測される結果だった。

シウダダノスは06年、カタルーニャ州の独立に反対する保守勢力で結成された政党。全国規模のネットワークを持たないが、有権者の既存政党に対する失望を追い風に躍進した。親欧州連合(EU)、自由経済などを掲げており、経済界からの拒否反応も少ない。

現在の下院議員の任期は2020年まで。仮に近く総選挙が実現した場合、不安視されるのはスペインの政治混乱が長引くことだ。次回の総選挙でも下院で単独過半数を得る政党が誕生する可能性は低い。再び基盤の弱い政権ができると、混乱が長引く可能性もある。

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