滋賀医科大など、ALSの治療抗体開発 原因物質除去
滋賀医科大学の漆谷真教授らは京都大学、慶応義塾大学と共同で、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の原因といわれる物質を除去する抗体を開発した。マウスの脳に投与する実験などで効果を確かめた。根治につながる治療法になる可能性がある。今後、病気の動物モデルで安全性や効果を確認して臨床応用を目指す。
ALSは神経細胞が侵されて運動や呼吸などができなくなる病気。根治は難しく、病気の進行を遅らせる治療薬しかなかった。患者の神経細胞に異常なたんぱく質の塊が蓄積することが原因の一つといわれている。
研究グループは異常な塊にくっつく抗体を作り、分解を促す機能を持たせた。遺伝子導入の技術を使い、マウス胎児の脳内に異常な塊と抗体を作らせるようにすると、異常な塊の量が減った。抗体がない培養細胞は2日間で4割が死んだが、抗体の遺伝子を導入するとほぼ全てが生き残った。
研究チームは今後、ALSのモデル動物を作製し、ウイルスで神経細胞に抗体の遺伝子を導入する遺伝子治療の効果を確かめる。サルを用いた安全性試験も進める。漆谷教授は「安全性を慎重に確認し、10年以内に臨床応用したい」と話す。