2018年12月12日(水)

米中貿易摩擦 再び混迷 米、知財で制裁関税発動へ
ハイテク派遣争う

2018/5/30 16:29
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【ワシントン=河浪武史】トランプ米政権が29日、6月中旬にも中国製品に追加関税を発動すると表明したことで、両国の貿易摩擦は再び強まりそうだ。6月2~4日には第3回の貿易協議を開催する。米国の貿易赤字解消には中国も協力姿勢をみせるが、ハイテク分野の覇権争いでは一歩も引く気配がない。北朝鮮の核兵器・弾道ミサイルの問題も絡むトランプ氏の中国との「ディール(取引)」は、落としどころがみえないままだ。

「中国は技術移転の強要などで、長年にわたって米企業の公正な競争を不可能にしてきた」。ホワイトハウスは29日、対中批判を書き連ねた声明文を公表し、500億ドル(約5兆4千億円)分の中国製品に制裁関税を課すと再表明した。6月15日までに対象製品のリストを公表し、その後すみやかに25%の関税を課すと突き付けた。

両国は5月17~18日の貿易協議で、米国製品の対中輸出を大幅に増やすことを決めて「貿易戦争を棚上げする」(ムニューシン米財務長官)と表明したばかりだ。両国の「休戦」はわずか10日ほどで終わった。

6月2~4日にはロス米商務長官が訪中し、3回目の貿易協議を開くが、早期解決は見込みにくくなった。天然ガスや農産品など米国製品の対中輸出の拡大策を詰めるのが主眼で、中国側は具体的な品目や金額の積み上げを急いでいる。トランプ政権は3750億ドルあるモノの対中貿易赤字を2千億ドル分減らすよう求めており、中国側がどこまで応じられるかが焦点となる。

前回の協議で争点となった中国通信機器大手、中興通訊(ZTE)の制裁問題では、トランプ大統領が歩み寄りの姿勢をみせている。ZTEの制裁解除は「習近平(シー・ジンピン)国家主席が自ら頼んできた」(トランプ氏)。トランプ氏は25日に制裁解除を表明し、条件として13億ドルの罰金と経営陣の刷新を挙げた。米国側から法令順守部門に人員を送り込むという"奇策"を用いる考えも示している。

もっとも、米中摩擦の根源にあるのはハイテク分野の覇権争いだ。ホワイトハウスの29日の声明では追加関税を課す対象商品には「中国製造2025に関連する分野を含む」と明示した。「中国製造2025」はロボットなど先端技術の国産化を目指すもので、中国当局はハイテク産業に巨額の補助金を投じている。米国は補助金廃止を要求しているが、中国側は強く反発。摩擦が収まる気配はみえない。

米中摩擦が混沌とする背景には、トランプ政権内の足並みがそろわないこともある。金融市場に気を使うムニューシン財務長官は貿易戦争を回避したいのが本音だ。ただ、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は20日に「中国の市場開放もいいが、技術移転の強要やサイバー攻撃といった問題はさらに重要だ」と関税発動の可能性を再表明し、ムニューシン氏の「休戦宣言」に真っ向から異論を唱えた。

トランプ氏が最重要課題とみる北朝鮮問題も米中協議を複雑にする。米当局が対中制裁のリストを公表する期限は6月15日で、米朝首脳会談はその直前の同月12日の開催で再調整中だ。国際貿易を取引材料に中国に外交で譲歩を迫る「トランプ流」のディールは、世界経済を繰り返し混乱させる。

米中貿易協議は北朝鮮問題という目先の懸案と、貿易不均衡の解消という中期的なテーマ、さらにはハイテク摩擦という長期課題が複雑に入り組む。どう解きほぐすのかトランプ政権ですら具体策を持ち合わせておらず、迷走を重ねている。

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