国内スタートアップ投資、5年で2.5倍 AIが人気

2018/5/30 16:06
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国内のスタートアップ企業への投資が拡大している。一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター(VEC、東京・千代田)によると、ベンチャーキャピタル(VC)などによる2017年度の国内向け投資額は1200億円を超え5年で2.5倍に増えた。低金利のなかで高い投資リターンを求める資金が流入し、大企業が外部との連携で事業の相乗効果を狙う投資も相次ぐ。一部企業に投資が集中しているとの声も上がる。

プリファード・ネットワークスはトヨタ自動車から約105億円を調達した(=プリファードのロボット部屋)

VECが30日公表した投資動向調査によると、17年度の国内向け投資額は1266億円と16年度と比べ16%増えた。調査は国内のVCや大企業が投資するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)106社から回答を得た。VECは11月末に年次調査をまとめる。

17年度は人工知能(AI)やバイオ分野など先端技術への投資が相次いだ。トヨタ自動車は17年8月にAI開発のプリファード・ネットワークス(東京・千代田)に約105億円を出資した。産業革新機構や大塚製薬などは同年12月、iPS細胞から血小板を作るバイオベンチャーのメガカリオン(京都市)に総額37億円を投じた。

18年に入っても数十億円規模の大型調達が相次ぐ。料理動画サービスのdely(デリー、東京・品川)は1月、ソフトバンクなどから総額33億5000万円を調達、ネット証券のFOLIO(フォリオ、東京・千代田)もLINEなどから総額70億円を調達した。VECは「投資額が特定のスタートアップに集中する傾向が見られる」と指摘。投資マネーは増加傾向だが、選別が進みつつあるようだ。

一方、スタートアップに投資するファンドへの新規・追加出資は2232億円。16年度から13.9%減ったものの依然として高い水準で、大企業が資金を拠出する動きが目立つ。

日米に拠点を置くVCのWiL(ウィル、カリフォルニア州)は17年8月、ソニーKDDIなど10社超と500億円規模のファンドを組成することを明らかにした。18年度に入ってもこうした傾向は続き、今月15日には独立系VC大手グローバル・ブレイン(東京・渋谷)が三井不動産と300億円規模のスタートアップ投資を発表した。

大学系VCの投資も広がる。東京大学エッジキャピタル(UTEC、東京・文京)は1月に設立した4号ファンドについて、すでに約240億円を集めた。エグジット(投資回収)も始まり、大阪大学のVCが出資した理化学機器のジェイテックコーポレーションは2月に東証マザーズに上場。国立大学が設立したVCの出資先として初の新規株式公開(IPO)となった。

投資回収が進めば、VCが上場益などを次の投資に投じる好循環が生まれやすい。31日に物流シェアリングのラクスル(東京・品川)、6月19日にフリマアプリのメルカリ(同・港)といった有力企業のIPOも控える。両社にはWiLとグローバル・ブレインなど有力VCが出資している。

(駿河翼)

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