2018年12月12日(水)

グーグルに会社売った起業家、今度は栗田工業へ売却

AI
2018/5/30 14:37
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水処理装置の栗田工業は30日、水道管の劣化を予測する人工知能(AI)を開発する米国のフラクタ(デラウェア州)に出資し、子会社化すると発表した。フラクタの最高経営責任者(CEO)である加藤崇氏は東大発のロボット開発スタートアップを米グーグルに売却した人物として知られ、今回は日本企業によるM&A(合併・買収)を実現させたことになる。

フラクタのAIによる水道管の分析画面

フラクタCEOの加藤崇氏

栗田工業は3700万ドル(約40億円)を出資し、株式の過半数を取得してフラクタを連結子会社とする。さらに2020年から最大4年間をかけて完全子会社化する。

水道管のAIは出資会社フラクタと同名の100%子会社(カリフォルニア州)が開発している。地形や土壌の性質など1000以上の項目のデータから、相関関係を分析して最適な交換時期を導き出す。AIを使うことで交換の失敗を防ぎ、更新コストの削減を実現できる。米国では2050年までに水道管更新に必要な費用が1兆ドルと予測されており、フラクタのAIを使うことでそのうちの4割を削減できるとする。米国全土での市場展開を加速し、5年後に3000万ドルの売り上げを目指す。

フラクタの加藤CEOは、東大発スタートアップでロボット開発のSCHAFT(シャフト)を東大出身の技術者と立ち上げたのち、13年にグーグル売却する道筋を付けた。当時は「日本の技術をなぜ海外に渡してしまったのか」という声もあったが、今回は米国で育ててきた事業を「逆輸入」した形となる。

加藤CEOはかつての日本経済新聞社の取材に対して「日本の産業を活性化するために、最新のAIの技術を使った有望な事業を米国の企業ではなく、日本の企業に問いかけていきたい」と語っていた。

栗田工業は水処理装置や薬品を開発をする企業。2022年に向けた中期経営計画では、成長分野への投資を事業の柱として掲げている。M&Aを含めインフラ分野、海外などの新規事業の展開を進めるとしている。

(松元英樹)

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