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カラオケ・傘・バッテリー 深センに無人マシンが急増

日経クロストレンド

中国に広く普及したスマホアプリ決済のおかげで、リアル店舗は「自動販売機化」し、さらに現金を使わずに済むさまざまな無人マシンが次々に登場している。近い将来に、世界一の「自販機大国」である日本を追い越す可能性もある。深センの街中の実情から、無人マシンの未来を探る。

アリババ集団傘下のアント・フィナンシャルサービスグループの「アリペイ」と騰訊控股(テンセント)の「ウィーチャットペイ」──。この2大スマホ決済アプリは、もはや中国の社会インフラになっている。スマホ決済の普及で、日本で生活する身からすると理解し難い状況も起きている。

テーブルのQRコードをスキャンする
画面に示されたメニューから料理を選ぶ。すると、それぞれの料理につき単価(¥で示されている)と何人前(份で示されている)の注文かが表示され、合計の品数と価格が最下部の黒地部分に示される。QRコードはテーブルごとに異なる(画面上に「19号卓」と表示)

深センで初めて入ったレストランでのこと。店員を呼び止め「メニューを下さい」と話しかけると、無言で机を指さされた。その先にあったのは、QRコードだ。これをスマホで読み込むと、スマホの画面にメニューが現われた。注文したいメニューを選ぶと、会計画面へ遷移。そしてスマホ決済で支払いが済んでしまう。一言も発さずに注文から会計までが終了。まるで自動販売機のようだ。

人の手を介さないスマホ決済は、リアル店舗を「自動販売機化」するだけではない。2018年3月まで1年間深センに滞在し、イノベーション創出をつぶさに見てきた東京大学社会科学研究所の伊藤亜聖准教授は「スマホ決済なら無人で代金を回収できる。これを前提にして多彩なビジネスが出てきている」と話す。

無人コンビニはその典型例だが、街中には他にもさまざまな無人マシンが出現している。

超小型のカラオケボックス。ショッピングセンターの通路などに設置されている

ショッピングセンターなどに多数設置されている電話ボックスのようなブース。無人のカラオケボックスだ。2人も入ればいっぱいになる小型サイズ。面白いのは、歌声がクラウドで保存されており、スマホからいつでも聴くことができることだ。

オフィスビルなどにある弁当の自動販売機

ほかほかの弁当が受け取れるマシンもある。スマホアプリから事前に予約してスマホ決済で支払い。マシンに暗証番号を打ち込むだけで弁当が出てきた。

華強北の地下街は「無人マシンストリート」に!

"深センのアキバ"といわれる華強北の地下街は、ちょっとした無人マシンストリートとなっていた。VRゲームが楽しめるマシンに、マッサージチェア。ボックスの中に入った雑貨が買える無人販売機に、食べ物を温めて売る自動販売機。どれも現金を受け付けない、スマホ決済専用の無人マシンだ。

VRグラスを付けて遊べるマシン
地下道の通路にずらりと並ぶマッサージ器
ボックスにさまざまなものが入って売られている無人販売機
温かいスナック類が買える自動販売機

スマホ決済はシェアリングエコノミーも支えている。傘の有料貸し出しに加えて、最近大流行りなのがモバイルバッテリーのレンタルだ。スマホ決済なしでは生活できなくなり、スマホの電池切れは死活問題になりつつある。充電が必要になればモバイルバッテリーを借り、別の場所で返せばいい。

駅などにある雨傘の貸し出し機はQRコードを読み込んでロックを解除する
モバイルバッテリーのレンタル機。ショッピングセンターや飲食店などに多く設置されている

返却されないリスクがありそうなものだが、そもそもスマホ決済は事前に本人確認を済ませていないと使えない仕組みなので、返却しないと本人が特定されてしまう。モバイルバッテリーの場合はさらに、利用に際して保証金100元(約1600円)も課している。つまり、事業者にとって無人マシンは、集金の手間がかからないだけでなく、安全に支払いを受けられる場でもあるのだ。スマホ決済が浸透した中国で、無人マシンが急速に普及する理由の一つがここにある。

(日経トレンディ 佐藤嘉彦)

[日経クロストレンド 2018年5月15日の記事を再構成]

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