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みんなでよくする投資業界(十字路)

「フィデューシャリー・デューティー」(顧客本位の業務運営)という言葉が徐々に認知度を高めている。もちろん、金融機関や運用会社等の業者が顧客を第一に考えて行動し、それを行政がきちんと監督するのは肝要だ。しかし、それだけでは、ある重要なプレーヤーが欠けている。

例えば「テーマ型投信」を取り上げよう。はやりの投資テーマに沿った投資信託が多数売り出されてきた。そうした投信は「その後の成績が振るわないことが多い」との分析がある。成績不振で投資家の解約がかさんで残高が減り、運用を圧迫することもあるだろう。投資家にも運用会社にも不幸なことだ。運用成績が不振なのは当然で、はやりのテーマ関連の銘柄は、とっくに人気化して買い上げられ、高値で投信に組み入れることになりがちだからだ。

「損をする可能性が高い商品を売りつけるとはけしからん」という声も聞く。しかし、そうした商品の過去の傾向を学んで買わなければいい、と言うのは酷だろうか。それどころか、はやりの投信を扱っていない証券会社の客が「おまえの会社で売らないのなら他社に口座を移す」と言ってきたこともあると聞く。

「いや、無垢(むく)な投資家のために、ひたすら業者と行政だけが汗を流すべきだ、お客がテーマ型の商品を買いたいと言っても、顧客本位の姿勢で拒絶し続けるべきだ」という主張も聞く。「自分のために学ぼうともしない投資家を守るのが当然だ」という考えは実は危うい。「電子レンジで猫を温めてはいけません」といった類と同種の注意事項を、延々と並べざるを得なくなる。情報の非対称性を踏まえれば行政や業者の責任ははるかに重いが、投資家も学び努力しなければ投資関連業界はよくならない。投資家には不適切な商品や業者を排除する力があるはずだ。

(ブーケ・ド・フルーレット代表 馬渕治好)

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