2018年11月17日(土)

対中関税発動を再表明 トランプ政権、北朝鮮巡り揺さぶり

2018/5/30 1:01
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【ワシントン=鳳山太成】トランプ米政権は29日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の最終案を6月15日までに発表し、その後に速やかに発動すると表明した。米政権は中国への制裁関税発動は一時保留する方針を示していたが、再び強硬姿勢に転じた。6月中旬の米朝首脳会談の実現へ、北朝鮮の後ろ盾である中国・習近平(シー・ジンピン)政権に揺さぶりをかける狙いがある。

米政権は4月初旬、500億ドル(約5兆5千億円)に相当する中国からの輸入品約1300品目に25%の関税を課す原案を公表した。米通商代表部(USTR)が最終品目の選定を進めており、6月15日までに正式発表する。ホワイトハウスは「その後すぐに関税を発動する」とも表明した。中国企業の対米投資を制限する新たな制裁案も6月末までに公表する。

米中は5月中旬の貿易協議で、米国の農産品やエネルギーの対中輸出を増やすことで合意した。これを受けて、協議を率いたムニューシン米財務長官は「関税を一時保留する」と述べていた。それが一転して制裁関税の発動を再表明したのは、北朝鮮との首脳会談実現へ中国に圧力を掛ける狙いがある。

トランプ政権が制裁関税を課す中国製品のリストを最終公表するのは6月15日。米朝首脳会談はその直前の同月12日で再調整中だ。2つのタイミングを絶妙に絡ませて北朝鮮の後ろ盾である中国を切り崩し、朝鮮半島非核化を是が非でも実現する狙いがある。

実際、米政権は習氏が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長と2回目の会談を持った5月上旬以降、北朝鮮が強気な姿勢に転じて「おかしくなった」(トランプ氏)と不満を抱いている。封じていたはずの中朝国境貿易も制裁が緩み始めており、米朝会談の成功にはまず対中圧力がかかせないとみる。

北朝鮮問題だけではない。29日のホワイトハウスの声明では「中国製造2025に関連した製品に関税を課す」と明示した。「中国製造2025」は習政権が産業ロボットなど先端技術に補助金を集中投下する振興策だ。米中はハイテク分野を巡って国益がぶつかりあう覇権争いを繰り広げており、貿易摩擦に出口は見えない。

米中両国は6月2~4日には3度目の貿易協議を開くが「アメとムチ」は幾度も繰り返される。世界経済は先の見えない米中摩擦に翻弄されており、企業心理は一段と冷え込みかねない。

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