2019年6月18日(火)

原油、くすぶる供給懸念 イラン・ベネズエラの輸出減

2018/5/28 20:00
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原油の供給懸念が消えない。サウジアラビアとロシアが協調減産を緩める検討をしていると前週末に伝わり、国際価格は日本時間の28日午前、一時約1カ月半ぶりの安値まで下げた。ただサウジなどが生産を増やしてもイランやベネズエラの供給がそれ以上に細り、緩和効果を打ち消すとの警戒感がくすぶる。世界の需要も底堅く、供給過剰に陥る可能性は小さい。

原油供給減への警戒感が根強い(ベネズエラの石油関連施設)=ロイター

原油供給減への警戒感が根強い(ベネズエラの石油関連施設)=ロイター

指標となるニューヨーク原油先物は日本時間の28日、一時1バレル65ドル台まで下がった。24日に比べ7%安い。

急落のきっかけは、25日のサウジとロシアのエネルギー担当相会談だ。供給不足の懸念に応えるため、生産を増やす準備があると表明した。

サウジが主導する石油輸出国機構(OPEC)と、ロシアなど非加盟の主要産油国は2017年に協調減産を始めた。合計で日量約180万バレルの生産カットに取り組む。

この減産幅を80万バレルと、100万バレル圧縮する案が検討されているもようだ。相場を支えていた供給不足感が薄らぐとの見方が売りにつながった。

もっとも需給の引き締まりは解消しないとの予想は根強い。「100万バレルであっても段階的な増産では、18年第3四半期は供給不足になる」。米ゴールドマン・サックスは25日の報告書でこう指摘し、強気の相場見通しに大きな変更はないとした。イランとベネズエラの輸出減で減産緩和の効果が帳消しになるとみるからだ。

トランプ米政権によるイランへの経済制裁再開で、同国の供給は日量数十万~100万バレルほど減る可能性がある。政情と経済の混乱が続くベネズエラは生産の落ち込みに歯止めがかからず、さらに数十万バレル減るとの見方がある。サウジやロシアなどが100万バレル増産しても、せいぜい需給均衡に近づく程度だ。

これまでの協調減産で、先進国の在庫のだぶつき感はほぼ解消した。野村証券の大越龍文氏は「サウジもロシアも供給過剰が常態化するような増産はしない」とみる。

70ドル超だった水準に比べ米国のシェールオイルの増産意欲が鈍る可能性もある。「米国が生産拡大に走らないよう、OPEC側が減産の手を緩め安値に誘導した」との見方も根強い。

原油価格も売り一巡後は1バレル67ドル前後まで切り返した。「原油価格は1バレル60ドル台前半で下げ止まる」(野村証券の大越氏)との指摘も出る。

仮に100万バレル増産すると、OPEC全体の原油の生産余力は250万バレルまで下がる。夏にかけてガソリン消費が膨らみ、原油需要は増える。中東情勢の緊迫など突発的な供給減のリスクを考えれば「250万バレルは心もとない」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之氏)。

減産に参加する産油国が緩和を判断するのは、6月22日のOPEC総会とみられる。生産割り当てなどの具体策を巡る神経戦はこれからだ。サウジなどは先んじて観測気球を揚げ、反応を探っているフシがある。

合成樹脂メーカー大手の日本ポリプロやプライムポリマーは原油高を背景に、プラスチック原料のポリプロピレンやポリエチレンの価格を1割前後引き上げる方針を固めている。ただ一時的な原油安で需要家の反発が強まり、値上げ交渉は難航する可能性もある。

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