ソフトバンク、スイス再保険との出資交渉決裂
スイスの再保険大手「スイス・リー」は28日、ソフトバンクグループとの出資交渉が決裂したと発表した。スイス・リーは2月、ソフトバンクから出資を受けるための予備的な協議を始めたことを明らかにしていた。ソフトバンク側も28日に交渉が決裂した事実を認めたが、詳細に関するコメントは避けた。

スイス・リーは28日の発表で「社外との提携も含めたテクノロジー戦略を引き続き進める。ソフトバンクの関連会社などとの間で、ビジネスのアイデアを引き続き模索する」としており、ソフトバンクグループ傘下の企業との提携や協業の可能性に含みを持たせた。
スイス・リーは当初、ソフトバンクから発行済み株式の最大3分の1程度、100億ドル(約1兆1千億円)の出資を受け入れる方向で協議していた。だが4月にはスイス・リーが出資比率が10%未満になると発表していた。孫正義会長兼社長は、「(出資比率が)20~30%をスイートスポットとして分野ごとに世界ナンバーワンの会社を集める」としており、比率を巡って折り合いがつかなかったとみられる。
ソフトバンクは米保険スタートアップに出資するなど、フィンテックの分野を開拓している。スイス・リーは世界最大級の再保険会社で、膨大な顧客データを持つ。ソフトバンクが持つ人工知能(AI)の知見を保険料の算定などに生かす狙いがあったようだ。
ソフトバンクの純有利子負債は13兆円と大きい。格付けも低めな上、世界的な金利上昇も警戒されており、保険事業をグループに取り込むことで安定した現金収入を得ることも目指していたとみられる。