2019年9月22日(日)

道徳の通知表「どう書く?」 期末前に教員ら模索続く

2018/5/26 12:10
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4月から小学校で道徳が教科となり、通知表に評価が記載されることになった。数値は使わずに児童の成長を文章で表すとされ、「どう書いたらいいのか」と悩む教員も少なくない。日々の授業でより注意深く児童の様子を観察したり、教育委員会や解説本の文例などを参考にしたり、最初の学期末を前に教員の試行錯誤が続いている。

道徳の授業では試行錯誤が続く(東京都渋谷区の神南小)

「どんな気持ちでボランティアを始めたのかな?」。5月15日午後、東京都渋谷区立神南小の道徳の授業で、担任の江川剛志主任教諭(36)が児童に呼びかけた。この日のテーマは「奉仕の心」。阪神大震災でボランティアをした小学生の話を教科書で読み、意見を出し合った。最後に人のためにしていることを各自の「道徳ノート」に書くよう促した。

特に注意して見守っていたのは、事前のアンケートで「ボランティアをするつもりがない」と答えた数人。このうち1人の児童は授業の最後に、自分が何気なく人のためにしていたことがボランティアだったと気づき、道徳ノートに書き込んでいた。江川教諭はこうした変化を頭に刻んだ。

評価をする際は道徳ノートも参考にし、こうした児童の様子を盛り込みながら成長を記述する。毎回全員の変化を見るのは難しく、授業の狙いと児童の実態に合わせ、事前に数人に絞るという。

「他の教科のようにテスト結果で到達度が分かるものでもなく、難しい」と江川教諭。同校の染谷由之校長(58)は子供が評価されたことを「あの時のことだ」と納得できるように記述することで、励ましや意欲につながると指摘。「誰もが成長を評価されるのが道徳のよいところ」と受け止める。

一方で「評価のイメージが湧かない」と不安を抱く教員も少なくない。京都市教委はこうした声が多数寄せられたため、3月、評価の要点や50の文例を盛り込んだ参考資料を作り、小中学校の全教員に配った。

教委担当者は文例について「評価を画一化する恐れもあるが、子供の良い所を100~150字でまとめるのは非常に難しい。書きぶりを参考にしてもらい、教員全体で認識を共有して一定の水準を保ちたい」と話す。

道徳関連の書籍も相次ぎ出版されている。

教育分野の書籍を扱う明治図書出版(東京)によると、評価に重点を置いた2016年刊行の解説書は現在7刷と好評。3月出版の別の解説書も既に重版が決まった。道徳専門の月刊誌で評価方法について特集すると、他の月より売れ行きも伸びるという。

19年度からは中学校でも道徳が教科となり、評価が始まる予定だ。子供の内面の成長を評価するため、現場での研究が続きそうだ。

■「いかに成長」 他人と比較せず
 「修身」が戦後に廃止となった後、1958年に教科書や評価を伴わない「道徳の時間」ができた。2011年に大津市で起きたいじめ自殺を契機として、政府の教育再生実行会議が13年に教科化を提言。文部科学省の中央教育審議会は14年に数値で評価しない「特別の教科」として教科化するよう答申した。
 これを受けて15年に学習指導要領が一部改訂され、「道徳の時間」は「特別の教科 道徳」(道徳科)として位置づけられた。実施は小学校は18年度、中学校は19年度。
 評価のあり方は文科省が専門家会議の議論を踏まえ、16年7月に教育委員会に通知した。他の児童生徒との比較ではなく、いかに成長したかを積極的に受け止めて認め、励ます内容を文章で記述するとした。
 小中学校の他の教科は02年度から、通知表の原簿となる指導要録を集団の中での位置づけである「相対評価」から、個々人の目標への到達度をはかる「絶対評価」に変更。通知表も絶対評価に変わっている。
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