2018年9月19日(水)

長野県、72市町村で民泊規制 観光・別荘地は繁忙期に

2018/5/26 1:00
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 長野県は25日、6月15日に解禁される民泊の具体的な規制案を公表した。全体の9割に当たる72市町村で、国の規制とは別に独自制限を設けた。軽井沢町、野沢温泉村、上田市など観光客やスキー客が多く訪れる地域や別荘地は繁忙期の営業を制限する。民泊による渋滞やトラブルを気にする住民に配慮し、厳しい上乗せ規制を定めた。

湯田中温泉は道が狭く混雑への懸念を理由に民泊を規制する(長野県山ノ内町)

 県は3月に民泊の規制条例を公布し、詳細は規則で定めるとしていた。公表案に基づく規則は6月上旬に公布予定。24日までに県内5事業者が民泊事業を届け出ており、そのうち2事業者が軽井沢町の業者だという。

 案は渋滞の防止を理由に観光客が多い6市町村で独自の規制を設けた。軽井沢町は5月と7~9月に町内全域で民泊を禁じる。上田市の鹿教湯温泉と別所温泉は年末年始などに規制。菅平高原はラグビー合宿などが増える7~8月に禁止する。山ノ内町の湯田中・渋温泉も繁忙期に規制する。

 白馬村、野沢温泉村のスキー場周辺は家主がいないタイプの民泊を冬に禁止する。スキーや高原観光で人気の茅野市車山高原は、冬に加え夏の行楽シーズンも規制する。

 民泊の全面禁止を求めてきた軽井沢町の藤巻進町長は「県の規制は町の意向に最大限沿ってもらった」と評価する一方「民泊は町にとってマイナス面が大きい」と懸念する。民泊禁止を定めた町の自然保護対策要綱に基づき、民泊を控えるよう事業者に求める考えだ。

 別荘が多い青木村、茅野市、川上村などは、別荘地の周辺で春や夏などに家主不在型の民泊を禁じる。児童館をはじめ教育施設周辺の民泊は22市町村で、医療・福祉施設近くの民泊は7市町村で追加規制を敷いた。

 3月に公布した条例は学校から100メートル以内の地域で登校日の営業を原則禁じた。住居専用地域も家主・管理者が常駐しない民泊は月~金曜に禁止する。宿泊施設が少ないなどの理由から緩和の要請があった小布施町、根羽村、売木村、豊丘村、小谷村は規制から外した。松川町は住居専用地域の規制を解除した。

 民泊の独自規制条例を定める権限は中核市の長野市にもあるが「県の条例は厳しい条件で、上乗せで条例を定めることは考えていない」(加藤久雄市長)としている。

条例複雑化、地域事情映す

 市町村数が77と全国で2番目に多い長野県の規制条例は複雑で細かいものとなった。市町村の民泊に対する考え方も様々で、既存施設への影響を懸念する自治体もあれば、宿泊施設不足解消に期待する自治体もある。

 軽井沢町が民泊に反対する理由の一つが既存宿泊施設圧迫への懸念だ。これまで軽井沢の宿泊を支えてきたペンションや民宿が廃業に追い込まれればスポーツ合宿の誘致などに影響が出ると不安視する。民泊で静穏な環境が崩れ、ブランドに傷がつくことも懸念する。

 一方、北斎館などがあり人気の観光地の一つである小布施町は民泊規制を廃した。若者のシンポジウムなどが度々開かれる同町は、宿泊施設の少なさを補うためホームステイを先をあっせんするなどしており「民泊を受け入れる土壌ができている」(市村良三町長)。

 阿部守一知事は25日の記者会見で「地域の実情に沿った規則になった」と述べた。ただ民泊を観光振興につなげる方策についてまだ具体案はない。宿泊業界が一つの転換点を迎える中、規制だけでなく民泊の活用策を考えることも地域振興には不可欠だ。(北川開)

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