2019年4月24日(水)

「ライドシェア」関西で広がる 兵庫・養父で26日から

2018/5/25 6:00
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兵庫県養父市で地元住民の自家用車による有料のライドシェア(相乗り)が始まる。国家戦略特区の規制緩和を生かし、観光客も利用できる全国初の取り組みだ。京都府京丹後市では世界最大手による配車サービスが定着し、淡路島ではタクシーの利便性を高める実証実験が始まる。関西で高齢者の利便性と観光客誘致の両立を目指す先駆的な動きが広がってきた。

ライドシェアの配車手順を予行練習する登録ドライバー(兵庫県養父市)

養父市で26日から始まるライドシェアサービス「やぶくる」は地元タクシー会社3社と観光協会などで構成するNPO法人が運営する。運行エリアはタクシーが短距離運送を担えない中山間地の2地域に限定する。

登録ドライバーは17人でスタート。タクシー会社のシステムと無料通信アプリ「LINE」のビデオ通話機能を組み合わせてドライバーの体調チェックや配車の連絡を実施する。2キロメートルまでの初乗り運賃は600円、その後750メートルごとに100円を加算する。料金は通常のタクシーの6~7割程度に抑え、車内に早見表を備える。

事故の場合の補償はドライバー自身の保険で対応し、NPO法人が不足分をバックアップする。ドライバーの募集要件に対人対物無制限、同乗者への補償3000万円以上の任意保険加入が含まれている。

京丹後市では世界最大手、米ウーバーテクノロジーズの配車システムによる「ささえ合い交通」が始まって2年となる。「バス停まで歩かず玄関から病院に行ける」と高齢者の間で便利な移動手段として利用が広がる。開始1年後に月平均60回以上あった利用回数は「着実に増えている」と運営するNPO法人。ただ、タクシー業界の反発は強く、全国的に広がるまでには至っていない。

高齢者が増える地域でライドシェアへの関心が高まる要因の一つがタクシーの利便性の問題だ。淡路島では今夏、ウーバーのタクシー配車システムを使った実証実験が動き出す。訪日外国人をはじめ観光客が主なターゲットだが、地元住民も利用できる。

兵庫県淡路県民局が島内12社あるタクシー会社を対象に募集し、参加するタクシーにウーバーのアプリを搭載したタブレットを配る。同システムは50言語に対応しており、訪日客はスマホから自国語でタクシーを呼んで登録したクレジットカードで決済できる。淡路島は流しのタクシーがなく観光客から「どこで乗車したらいいのか分からない」との声が寄せられており、利便性を高める狙いだ。

 自家用車による有償運送は特区でなくても過疎地で地元合意があれば認められるが、地域住民が主な対象。養父市の特区事業は観光客の交通手段の充実を掲げているのが特徴だ。運行エリアには日本遺産に認定された明延鉱山跡などがあり、養父市の広瀬栄市長は「観光客の利用にも注力していきたい」と話す。
 ただ、当初は利用の大半を地元住民が占める見通しだ。養父市の人口に占める65歳以上比率(高齢化率)は38%と2005年から7ポイント上昇した。京丹後市や淡路島3市も約35%に達する。中山間地や島部では人口減と高齢化で路線バスなどの利用者が減り、バスの本数が削減され、さらに利用者が減って路線が廃止される、という悪循環に陥るところも多い。
 高齢者の免許返上の動きもあり、交通利便性の悪化は買い物や病院通いの手段を奪うことにつながる。気軽に使える交通機関がないことは、訪日客など観光誘客の面でもマイナスだ。
 ライドシェアに本来なら反対するはずのタクシー会社が養父市では中核を担うのも、地方衰退への強い危機感がある。広瀬市長は「将来的にタクシー会社がマイカー運送を事業化する可能性を秘めている。新たなビジネスチャンスだ」とライドシェアの経済効果にも期待を示す。(下前俊輔)

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