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新興国市場、動揺深まる 健全度で影響に濃淡

新興国市場の動揺が深まっている。米利上げを受けてドル高が進み、新興国からの資金流出を誘っているためだ。アルゼンチンやトルコなど財政面に弱さを抱える国が狙い撃ちされている一方、東南アジア諸国などは比較的平穏で影響度には濃淡がある。ただ、新興国が抱えるドル建て債務は増加が続いており、ドル高がさらに進めば新興国市場全体に打撃が広がる恐れがある。

不安定化が著しいのがトルコリラとアルゼンチンペソだ。どちらも過去1カ月で対ドル相場は15~20%程度下落し、最安値を記録している。共通点は経済運営の規律が甘く、財政面で弱さを抱えていることだ。

両国とも経常赤字の国内総生産(GDP)比は5%程度に達し、その累積で対外債務も積み上がっている。年率2ケタのインフレに苦しんでいることもあり、ヘッジファンドなどに狙い撃ちされているようだ。

東南ア諸国の金融市場は比較的平穏だ。特にタイは経常黒字がGDP比で10%を超え、インフレ率も1%台にとどまる「優等生」で、通貨バーツはこの局面でも上昇を保っている。「アルゼンチンなど一部の国を除けば、新興国の財政は改善している」(米インベスコの債券チーフ・ストラテジスト、ロバート・ワルドナー氏)との評価も市場では聞かれる。

通貨安が深刻な国は「対抗利上げ」を余儀なくされている。アルゼンチン中銀は政策金利を27.25%から40%へと引き上げ、トルコ中銀も緊急利上げに踏み切った。通貨安とそれに伴うインフレを防ぐのと引き換えに、「金利高による景気への悪影響」を容認した格好だ。

背景にはドル建て債務の増加という事情がある。国際決済銀行(BIS)によると、新興国のドル建て債務は3.6兆ドル(約400兆円)と過去10年で2倍以上に増加。対GDPでの比率も上昇し、実質的な負担も高まっている。こうした状況で自国通貨安を放置すれば、ドルベースでみた債務負担がさらに膨らみ、債務不履行のリスクが高まってしまう。

新興国の債務が増加したのは、08年の金融危機後に米連邦準備理事会(FRB)が大規模な金融緩和を実施し、世界的に金利水準が低下したためだ。FRBは今後も利上げ路線を続ける構えで、ドル高がさらに進めば比較的健全な新興国にも動揺が広がりかねない。今回の金融緩和は過去に例がないほどの規模だったため、正常化の過程でどんな影響が生じるか読みにくい面がある。

(後藤達也、富田美緒、ニューヨーク=大塚節雄)

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